花宮ちゃん怪我は治っても天然は治らない

現在地。バスケ部の部室。
暫く見ないうちに随分散らかったそこに入って、久々に自分のロッカーを開けた。
エナメルからシャツやらタオルやら制汗剤やら裁縫セットやら女子には必須のアレコレを詰めたポーチやらを取り出し、ロッカーの中に入れる。
やはり、ロッカーに生活感があると部活に『帰って来た』感じがする。
それからハーフパンツを履いて、スカートとセーラー服を脱ぎ、持参したハンガーにかけてロッカーへ。
セーラー服の中にはいつもTシャツを着ているので、着替えはすぐ済む。
最後に、バッシュに履き替えて、紐をしっかり結び直して履き心地を確認。
うん、大丈夫。

「…っし、行くぜ」

後輩達と初対面だ、と気合いを入れた。
――直後。
ドアが開いて、ここ半年ほどずっと一緒にいた相棒が入って来た。

「…お!誠、今来たのか!」

…ユニフォーム姿で。

「…部活を楽しみにし過ぎっしょ」
「何でわかったんだ!?」
「わからいでか」

もうなんか、色々崩れた気がする。タイミング的な何かが。
せっかく気合い入れたのに力が抜けてしまったし。
天然ボケ男め。許さん。

「…待ってたげるから、さっさと着替えなよ」
「おう!」

腹いせに黒飴の中にコーラ味の飴を紛れ込ませてやる事を決意しながら、そいつが脱いだユニフォームを綺麗に畳んでやった。

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