花宮ちゃん終わり、のち、始まる

『ごめん』
『負けちゃった』

リコから送られて来たメールを見ながら、ぐ、と左手を握り締める。
手首には、誕生日に木吉がくれた、黒地に紫とピンクのラインが入ったリストバンドがある。反対の右手首につけた黒と赤と白、誠凛カラーのボーダー柄のリストバンドは、皆が木吉に対抗して選んでくれたらしく、これも誕生日にもらった。毎日欠かさずつけているそれらは、私のお守りだ。
去年より吹っ切れてはいるけれど、それでも着々と近付いてくる『その時』に怯えるときがまだある。そんな時これを見れば、一緒に戦うと言ってくれた皆を思い出して落ち着く事が出来るのだ。
ちなみに効き目は、どこかの占いのラッキーアイテムよりずっと抜群である。

『まだ、全部が終わったわけじゃねーだろ』

返信メールを送って、携帯電話を閉じる。
邂逅は、もう、すぐだ。
一方的に知っているだけの後輩達と、仲良くなれたら良いな、と考えて、『花宮真』らしくない思考に自嘲の笑みをこぼした。


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