三度目の正直
5月17日


「マフィア?裏通りで白い粉を売りさばき、利権を争って銃撃戦を繰り広げるあれか?」
「そりゃ歴史のねえぺーぺーファミリーのやることだ。ボンゴレは寧ろそーゆー奴らを取り締まる良いマフィアなんだぞ」
「ほう、それはそれは。成程、正義の味方の設定なのか」
「(この人もマフィアごっこだと思ってるー!?)」

さっそく土睦を勧誘しだすリボーンに、綱吉は顔を青ざめ、獄寺は土睦を睨み、山本は笑った。

「だが実際、マフィアというのはそんな自警団のような集団ではないぞ。何人ものニンゲンを殺しながらも警察やFBIの捜査から逃れる卑劣な奴らだ。映画のようにカッコいい存在ではない、憧れを抱くのはよしておけ」
「(おお、まともな返し!)」

たしなめるように言って聞かせる土睦に、綱吉は目を輝かせる。
常識人は年中不足しているのである。
土睦は今までアメリカに住んでいたというから、日本より治安の悪い地区にも入ったことがあるのかもしれない。
それこそ、『自衛』に雲雀と互角に戦えるレベルの強さを求められるような危ない場所に。
そう考えると説得力のある言葉に、綱吉がその通りだと頷いていると、獄寺が鬼のような形相で土睦を睨み付けていた。
綱吉はびくりと肩を震わせながらも、恐る恐る声をかける。

「ど、どうしたの獄寺君」
「ヤロー、ボンゴレをなめやがって……!!」
「落ち着いて!白弧さんも悪気は無いから!」
「白弧はマフィアごっこの仲間入んねーの?」

綱吉が獄寺を必死に押さえる隣で、山本が笑顔のまま問い掛ける。
土睦と同じくごっこ遊びと考えている山本は、純粋に一緒に遊ぶ仲間に誘っているつもりらしい。
綱吉は本当にマフィアなんだよ、と叫びたかったが、山本はそれでも信じないだろうことを悟って諦めた。
狙撃されてもオモチャだと思い込んでいたのだ、何を言っても無駄だろう。

「すまないが断る。私は既に向こうの仲間達とチームを組んでいる……彼らは最高の仲間なんだ、二股をかけたくない」
「そっか、そりゃ残念」

笑顔を見せる土睦に、残念と言いながら山本も笑う。
爽やかな空気の流れに、綱吉も僅かに笑みを浮かべた。

「チッ」
「っし!」

舌打ちを隠そうともしないリボーンと全力ガッツポーズの獄寺に、空気を読んでくれと願いながら。


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