三度目の正直5月16日
「土睦ちゃんは何か特技とかある?」
「喧嘩には自信がある」
「えっ」
「向こうではそれなりに治安の悪いところもあったので、自衛の手段としてな。ああ、銃も扱えるぞ?」
「へえー!」
「そっか、アメリカって銃の所持オーケーなんだっけ」
「動かない的に当てるくらいの腕しかないが」
「えーでもすごいよー」
なんて会話が教室内で行われていたのが今日の昼休み。
現在放課後である。
「転校生をファミリーに入れるぞ」
「何でだよ!!」
綱吉は腹の底から叫んだ。
何故この赤ん坊家庭教師がまた学校に来ているのだとか、転校生に目を付けるのが早過ぎるだとか。
色々言いたいことはあったが、あり過ぎて言葉にならず、言語として解読不能な音だけがこぼれる。
「あいつ強そうだしな。それに銃を扱える奴が一人くらいいたって良いだろ」
無茶苦茶な事を言うリボーンに、綱吉は顔を顰める。
いつもマフィアにはならないと言っているし、友達や周りの人を巻き込むなとも言っているのに、この家庭教師は全く聞き入れるそぶりすら見せてくれない。
しかし情報が早い。
土睦が銃を使えるという話は昼に出たばかりで、その時リボーンは近くにいなかった筈なのだが。
……壁の外に潜んでいたか、盗聴器でも仕掛けたか。
どちらもありそうで怖い。
「取り敢えず、獄寺に喧嘩売らせたから見に行くぞ」
「ええー!?と……止めなきゃ!白弧さんが危ない!!」
体よく使われている自称右腕の爆弾少年に心の中で文句を言いつつ、綱吉はリボーンを肩に乗せて走りだした。
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