三度目の正直
8月4日


七夕大会の際に、獄寺の悪意が原因で山本が壊した公民館の壁。
その修理費を払うべく夏祭りに出店を出した二人に巻き込――いや、付き合い、一緒にチョコバナナを売ることになった綱吉は、祭りのラストに打ち上げられる花火を想い人である京子と一緒に見る為、全て売り切ろうと張り切っていた。
目標、バナナ500本である。

「買えやコラァ!!」

――達成される時は、遠そうだが。
脅しにしか聞こえない獄寺の呼び込みに目眩がして、綱吉ははあ、と重い溜息をついた。



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「一つくれ」
「はーい…って、白弧さん!」

硬貨を乗せた手が差し出されて視線を上げると、浴衣姿のクラスメイトが立っていた。

「沢田…獄寺、山本もか」
「お!白弧か!祭楽しんでるか?」
「ああ。初めて見るものばかりで、見てまわるのに忙しくて仕方ないよ」

言いながら、土睦は機嫌良さそうに水ヨーヨーやわたあめの袋を掲げて見せる。
つい三ヶ月前に日本に来たばかりの帰国子女にとっては、この場で見るもの全てが新鮮なのだろう。
綱吉達と話しながらもきょろきょろと周囲の店を見回す土睦に、山本が笑いながらチョコバナナを差し出した。

「ほら、どーぞ。……他には何買ったんだ?」
「ん?たこ焼きと、わたあめと、りんごあめと、焼きそばと、かき氷と、水ヨーヨーと、お面と……」
「(心から楽しんでるなぁ……)」

両腕に提げた荷物を見ながら指折り数える土睦に、山本がぶは、と吹き出す。

「ははは!買い過ぎだろ!」
「腹が減ってな……つい」
「それにしたって多いだろ、屋台制覇するつもりなのか?」

山本が笑いながら問うと、土睦は一瞬自分の荷物に視線をやり、それからむ、と少し考える素振りを見せ――わざとらしく真剣な表情で、こくりと頷いて見せた。

「……それも悪く無いな……行ってない店はあと何ヶ所だったかな」
「ええ!?乗り気なの!?」
「冗談だ」
「あっはっはっは!!白弧って面白ぇのな!!」

無表情で冗談だと宣う土睦がよっぽどツボに入ったのか。
屋台の前を通る客に声(脅し)をかけていた獄寺が『うるせぇぞ野球バカ!!』と怒鳴るまで、山本はしばらく笑い転げていた。



**********
私りんごあめ見たことないんですけどー

私の地元じゃいちごあめの方がメジャーで、小さい子はみんな百円玉握りしめて屋台のおっちゃんに「ひとつください」ってもらいに行くんですよ…桜まつりや宵宮でよく見る光景です……ちっちゃいこかわいい……
あめをなめる派と噛む派がわかれてて、私はなめる派だったんですけど、小さい頃はあめをなめ終わる頃にはおなか一杯で中の苺までたどり着けなかったものです
中学生くらいになって初めて中の苺に辿りつけた時は妙に感動しましたけど、周りのあめがすっごい甘いので、それをなめたあとじゃ苺の味を一切感じられなくて……しょんぼりした中1の夏
噛む派の友人は隣でばりばりがりがり2、3個ほど美味しそうに食べてましたけどね

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