三度目の正直
6月10日 その5


「――ごめん、大丈夫!?」
「っ……!!づぅ……!!」
「うわあああごめんほんと!!ほんとごめん!!」

死ぬ気が解けた瞬間、綱吉は顔を真っ青にして由恵に駆け寄った。
由恵は地面に膝をつき、額を押さえて蹲りながら、痛みを耐えて低く唸る。口の中を噛んだのか、唇の端からは僅かに血が流れていた。
ぺ、と唾と共に赤いものを吐き出して、由恵は綱吉を見上げる。

「……まさか、頭突きでくるとは思わなかった」
「いやそれはその無意識っていうかあのえっと」
「成程……反射で動けるくらいでなければ強いとは言えない、ということなのかな……」
「え(なんか変な解釈されてるー!?)」

冷や汗を流す綱吉とは対象に、由恵の表情は清々しいものだった。額を真っ赤に腫らしながらも、穏やかな瞳で綱吉を見つめ、微笑んでさえいる。
――何かを、得る事が出来たのだろうか。負けたというのに由恵の表情は満足そうで、よくわからないまま試合をさせられた綱吉は混乱するばかりだ。
口の端を伝う血を拭ると、由恵はバッと立ち上がり、二本の棒を回収した。そして綱吉に向き直り、右手に握る長い方を目の前に突き付けて声を張り上げた。

「沢田先輩!!」
「はっはい!?」
「私は諦めないからな!!勝つまで何度でも挑み、近いうちに必ず倒す!!」
「(俺を倒すまで戦うのを止めないってことー!?)」

距離を置いて二人を見ていたリボーンが口角を上げ、獄寺は大きく舌打ちをした。
そしてその後、休み時間や放課後に度々由恵が勝負を申し込みに綱吉の前に現れるようになり、神出鬼没の熱血少女は2年A組の名物になるのであった。


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そしてこの無理矢理終わらせた感である

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