三度目の正直6月10日 その2
放課後になり、校舎を出ると、本当に校門の前で、教室に乗り込んできた少女が仁王立ちしていた。
ジャージ姿で、先程はおろしていた髪を今は結い上げ、ポニーテールにしている。
彼女は、1年C組山上由恵、と名乗った。
「テメー1年かよ、ケーゴ使えやコラ」
「悪い、私は敬語がわからないんだ」
「あ、あのー、俺に頼みって……?」
当然とでもいうように着いてきた獄寺が、由恵をぎろりと睨み付ける。
その今にもダイナマイトを取り出して辺り一面爆破しそうな形相に焦った綱吉が本題を切り出すと、由恵はに、と歯を見せて笑い、校門に立て掛けていた縦長の布袋を手に取った。
「私と勝負をして欲しい」
「え?しょ、勝負……?って、何の……」
話しながら、布袋をおろして中身を出していく。
布袋には長さの違う二本の棒が入っていて、由恵は長い方を右、短い方を左で持った。
足を肩幅に開き、腰を落として棒を前後に構える。
「これ、だ」
「ええー!?もしかして、勝負って……け、喧嘩ー!?」
「有り体に言えばね。なんでもありの模擬戦闘……いや、試合とでも思ってくれれば良い」
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