三度目の正直
6月10日


「沢田先輩はいるか!!」


ホームルーム中に突然飛び込んできた少女に、2年A組の生徒達は一斉に黙り込んだ。
少女はきょろきょろと教室内を見回し、綱吉を見付けるなりその席へ歩いて行く。
クラス中の注目を浴びながら、少女は綱吉の席の横に立ち、両手を勢いよく机に叩きつけた。

「っ!?」
「沢田綱吉先輩!!」
「なっ……ナンデショウカ……」

その大きな音と少女の勢いに、綱吉は思わず後ろに仰け反る。
それも気にせず、少女は綱吉に更に詰め寄った。

「貴方に折り入って頼みがあるんだ……放課後時間もらえるか……!?」
「はっはい!」

迫力に圧されて何度も首を縦に振ると、少女はすっと身を引く。
その顔には満足そうな笑みが浮かんでいた。

「じゃ、校門で待ってるから!よろしくな!」

少女がそう言い残して走り去って行った後には、しんと静まり返ったままの教室。
担任の教師も、口を挟めず呆然としていた。
クラスメイト達も顔を見合せ、今何が起きたのかと首を傾げる。
嵐のような数十秒の出来事に、厄介事の予感をひしひしと感じ、綱吉は一人、自分の席で頭を抱えた。


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