歌が頭から離れないので +

「来世はもっと誠実に君みたいな子を好きになるよ(マインドスプラッター/ナポリP)」


チャラい、もしくはゲスいキャラに成り代わった(と言っても転生でなくトリップなのでどちらかというと憑依に近い)男の子が、その『キャラ』を演じて本心と真逆のことをして生きて、好きな人を傷付けて嫌いな人と仲良くして、それでもなんとか頑張って原作の完結まで生き抜いたところで、疲れて自殺する。
主人公は転生者で、その男の子の事情を知った上で彼に恋をしてた子。実は両片思いだったりする。で、最後に上のセリフを言って屋上から飛び降りた男の子に、泣きながら「またね」って言って、その直後に偶然事故で死ぬところから話は始まる。

そして同じ世界の同じ時間軸に転生する二人。ただし今度は男の子は成り代わりではない。
今度は自分として生きようとのんびり過ごす男の子は、成り代わっていた頃とは全く違う環境に身を置いて過ごす。前に好きだった女の子は自分が成り代わっていた『キャラ』が好きなんだろうと思っていて、自分以外と仲良くする女の子を見たくないから、という理由で女の子に遭遇しないように気を付けて生きる。
そんな事はつゆしらず、前と同じ様に過ごして男の子を待つ女の子。どうやら前と違って成り代わっていないようだと気付いてからは、「もしかして男の子は転生していないのかも」という不安を抱えながら、男の子が自分を見付けてくれるのをひたすら待つ。キャラに成り代わってない状態の男の子の姿がわからないから自分から探すことも出来なくて、向こうが記憶を持って転生していて、自分を見付けて何らかのアクションを起こしてくれるのを信じて待つしか出来ない日々。

ある日、喫茶店かファミレスで、偶然背中合わせの席に座る二人。男の子は気付いてるけど、女の子は気付かない。少しの切なさを感じつつも、女の子の方の会話に聞き耳立てちゃう男の子。もう近付かないと決めてはいたものの、やっぱり見たら気になってしまって、ご飯食べながらしきりに後ろを気にする。ので、同席してる友達に訝しがられたりする。
女の子の方は恋バナで盛り上がってる。だからこそ男の子は気になってるんだけど。女の子は友達に好きな人がいないかしつこく聞かれて、渋々といった様子で口を開く。

「…私は、心に決めた人がいるの」
「えっ何それ初耳!誰!?」
「あんたの知らない人。昔告白したけど、断られて、すぐ会えなくなって…でも諦められないから、いつかまた会えるのを待ってんの」
「ええー!?ちょっと、そんな話聞いた事ないんだけど!!何で話してくんなかったの!?」
「あんたがそうやってうるさくなんのわかってたからよ」

男の子は久々に聞いた女の子の声とか、雰囲気とか話し方とかに、思わず表情が緩んでしまって、友人にばれない様に必死でごまかす。でも聞き耳立てるのはやめない。

「どんな人?」
「ひどい人」
「え、え、どういうこと?」
「私の告白に対する断り方がね、――――…」

がしゃん。
動揺した男の子がコップを取り落として水をこぼす。一緒に来てた友人が慌ててふきんを貰いに行くけど、男の子は呆然としてそれどころじゃない。
女の子が言っていた言葉が、『キャラだった頃』の自分の最後の言葉だったから。

「(もしかして、覚えてるのか?)」
「はぁー!?ひどいっていうか意味わかんない!そんな奴のどこに惚れたワケぇ!?」
「根は真面目で優しい人だし、その頃は色々思い詰めてたみたいだったから…なにも力になれなかったから、置いていかれたのかなぁ」

後ろから聞こえる、切なそうな声に胸がきゅうっと痛む。

「その人、今どこにいるかわからないの?」
「うん…さっぱり。だから、私が待ってることも伝えられなくて…」
「それ脈ないんじゃない?」
「なのかなー…」


その後は大まかにしか考えてない。
男の子は多分、かなり悩んでから女の子に名乗りに行く。
んで感動の再会→告白
ちょっと泣きながら「やっと『俺』として、君を好きだと言える」
めでたく付き合うことになる二人

からの『キャラ』達とのフラグ自動乱立。
前はこんな事なかったのに…!って嘆くレベルで『キャラ』達に絡まれる様になる女の子
を、男の子が守る。
前世で両片思いだったのに好きだと伝えられなかった男の子→女の子を溺愛+過保護
前世で男の子に置いて逝かれ、今世でもずっと待たされてた女の子→嫉妬深い+束縛彼女+若干のヤンデレ
=超ラブラブカップル誕生。


二人の間に入り込もうとして弾かれる『キャラ』達を書いたら楽しそう。書くなら黒バスとか、現代な感じの学園ものとかかなーなんて。

しかしこの女の子、心の強さパネェな。
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