貧血気味の万能薬 +

島民に話を聞くと、「大海賊時代の始まりの頃、海賊に荒らされたこの島。復興し再び立ち上がったが、次は流行り病によって滅びかけ…しかし、その時生まれたある男の子の血が人々の病を治した。彼の血はどんな深い傷も塞ぎ、彼の血はたとえ不治の病だとしても治す。それがこの島の『奇跡』」との事。

男は正しく万能薬であると聞き、医者としてある種の憧れを抱くチョッパー。なんでも治せるなんて凄い!
けれど疑問が一つ。そんなに凄い薬になる血なら、研究されて薬として全世界に流通してもおかしくないはずなのに、実際は全く逆で、近くの島くらいでしか知られていないし研究されているという話も聞かない。何か裏があるのでは、と推察するナミもしくはロビン。

何はともあれその『万能薬』と話してみたいというチョッパーの意見により、男の血が手に入るという屋敷へ向かう一味。
なんやかんや(この辺が長い)で見付けた男は、実の父親に『金づる』として扱われ、死なないギリギリに血を抜かれながら幽閉されていた。
ベッドでぐったりしながら「『うみ』って何だい?」とか聞いてくる男に愕然な一味。小さい頃から閉じ込められて何の知識も与えられずただ寝ていたのでなんにも知らない男。文字を習っていないので本も読んでおらず、知識量は幼児並み。「失礼だな、僕だってあの『マド』の向こうの『ワサワサ』が『クサ』というものだというくらいは知っているよ」「論外だよ!!」

こいつこのままじゃダメだ…!という事で男を誘拐する一味。
警備の者やら男の父親やら海軍やら政府の役人やらと戦ったり逃げたり(この辺も長い)して船に戻ってそのまま出航!

男は元から貧血気味で、しかもずっと寝たきりだったから体力とか筋肉とか全然なくて、立てないし歩けないしすぐ倒れる。そして始まる介護生活…。一番書きたいのはここである。
食事が点滴だったという男の為に口での食事にまずスープとかから慣れさせようとするサンジ君、歩けない男の為に車椅子を作ってあげるフランキー、何も知らない男に色んな知識を与える女子組、車椅子では進めない段差に差し掛かると助けてあげるゾロ。ウソップの嘘とブルックの音楽にカルチャーショックを受けたりしながら『普通』を目指してリハビリする毎日が楽しい男。

誰かが怪我して「僕の血を使ってくれ!」「馬鹿言えお前常に貧血のくせに!」「僕は平気だから!」「平気じゃねぇだろうが!たとえ怪我を治す為だとしても!お前の体に障るってわかっててんな事するわけねぇだろ馬鹿!」みたいな怒鳴り合いしたりとか。説教の内容が「自分の事を大事にしなさい」とか思い切り子供にするそれだったり。もう大きい子供だよね。介護という名の育児。

『万能薬』は魅力的だけど男本人が犠牲になっているならそれは『万能』じゃない!って言いきるチョッパーと、僕一人の犠牲で皆が救われるならそれで良いんじゃないの?って純粋に疑問に思う男との擦れ違いと友情っていうのがメイン。前置き長かったけどメインはチョッパー。


ほのぼの系心温まる話が読みたい。
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