おれの涙は銀をも溶かす +

生まれつき何故か涙が酸性で、泣くたびに目玉やら鼻の奥やらが痛む。泣かなくても痛む。小さい頃は地獄だった。痛くて泣いて、泣くと痛くて、また泣いて。エンドレス。

成長するにつれて酸性が強くなっていって、目玉が溶けてしまう。
それで、顔の内側から溶けてしまうのを防ぐ為に、目玉を摘出し、涙腺から出る涙を中に溜める事の出来る球体(見た目が綺麗だとなおよし)を眼窩に入れる。
涙は定期的にその球体から抜く。すぐ一杯になっちゃうから。抜いた涙は瓶か何かに溜めてあると良い。

男は見聞色が使えて、普段は包帯巻いて目隠しして、普通に生活してる。近所の人達は理解があるので普通に接してる。


そんなある日現れたハートの海賊団。
町でぶつかりそうになった男が、目隠ししてるのにスッと避けたのが気になった外科医。まずその辺の人から情報を集めて、それから本人に突撃する。
「お前、その目はどうした」
「溶けたんだ」
「…溶けた?」
「おれの涙は生まれつき酸性が強くてな。…あァ、ちょうど良い。そろそろ涙を『抜く』時間だ。見るか?」
「ああ」
で、球体に溜まった涙をテーブルに一滴落として見せて、じゅわって煙出して溶けたテーブル見て外科医が目を丸くする。
「こいつァ…」
「面白ェだろう?何でも溶かしちまうンだ」
「何でも…」
ふと思い付いた外科医、倒した海軍からくすねた海楼石の手錠に涙を落としてみろと命令→溶ける海楼石。
「…お前、よく今まで無事だったな…海楼石を溶かす涙なんぞ、海軍にも海賊にも狙われまくるだろうに」
「この島に海軍が来たのはおれの目玉が溶ける前が最後だ。知っての通り、隣の島が本島だからな。こっちには用がねェんだろうよ」
「成程なァ…」
「海賊だって、おれに声かけたのはあんたが初めてだしな」

2日くらいでログがたまる島で、外科医が男に出会ったのが2日目だったので、外科医は即決断。
こいつ連れて行く。海楼石をも溶かす涙を生み出す人間なんて興味深…ゲフン、貴重過ぎる。他の奴らに存在を知られる前に俺のもんにしちまおう。

「実は、生まれてこの方一度も船に乗った事がないんだ、おれは。盲目の男なんか乗せたがる奴はいねェしなァ」
「俺の船は潜水艦だが、乗ってみるか?」
「良いのか!?」
「面白ェもん見せてもらった礼だ。来い」
「!」

男を潜水艦に案内している隙に、クルーに命令して男の家から必要そうな荷物と溜めてあった涙を持って来させて、男が潜水艦の中ではしゃいでる内にこっそり出航。
島が見えなくなった頃にそれを知らされて男はびっくり。でも面白そうだから一緒に行っても良いよってなる。

「あ、その瓶運ぶなら気ィつけろよ、中身はおれの涙だ」
「はは、あんま脅すなよー」
ちゃぷん、ぽたり、じゅわっ(一滴床に落ちて床板が溶ける)
「…!?」
「…落ちたのが床で良かったな。お前が浴びてたら肉どころか骨まで溶けてたところだ」
「…気をつけるわ」



前に書いた異形萌えの人といい、俺の中でハートの海賊団が変な方向に行ってる気がする。
個人的にペンギンが骨格萌えな人だったら良いなぁとか思ってるけどそれこそ変人集団になってしまうなwww
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