異形モノも書いてみたい +

適当な海兵の下顎を切り落とし、変わりにその辺に落ちていた手から切り取った中指を六本、くっつける。うねうねと虫の足の様に動くそれがイメージにぴったり合っていたらしい。隣の男が目を輝かせるのがわかった。

「…で?」
「えっと、腕と足は作って来たんで、肩から先と足、切り落として貰って良いですか?」

男がどこからか取り出した、腕と足。むき出しの骨を繋げた様な左腕、スクラップを組み合わせて作ったような右腕と足。それぞれ明らかに人間のそれではない長さのそれらを抱えて、男はそわそわと落ち着き無く待っている。
はあ、とため息を一つこぼして、目の前の海兵の四肢を切断する。男は嬉々としてお手製の『手足』を男にくっつけていった。

「…オイ、足はそれで良…いや、何でもねェ」

関節が逆向きなのではないか、と声をかけようとしたが、やめた。この奇妙な趣味を持つ男の事だから、敢えてそうしたんだろうと思い至っての事だった。
その予測は当たっていたらしく、男は、関節が逆向きに曲がる、人間一人分ほどの長さもある足を『はやされた』海兵を見て、恍惚とした表情を浮かべている。
我がクルーながら、趣味の悪い。

「…目ン玉も入れ替えてェなァ…」

ぼそり。男が、海兵に『はやした』左腕の先、細長い三本の指(の骨)をなぞりながら呟くのが聞こえた。

「水晶…いや、硝子で替えの目玉を…あァ、中を空洞にして、血を入れるのも良いな…鈴を入れて、動く度に音が鳴る様にするのも…」
「…(更にいじる気なのか)」
「そうだ、キャプテン!ちょっとスピーカー持って来るので、耳を削ぎ落としてもらえますか」
「…ああ」

スピーカーと耳を削ぎ落とすのにどんな関連があるのか。いや、聞くのはやめておこう。未知の方向にぶっ飛んだ嗜好をそれはもう熱くしつこく鬱陶しく語られるに決まっている。
完成形の予想が全く出来ない『誕生日プレゼント』を見下ろして、死の外科医は再びため息をつくのだった。
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テーマ「人外ファンタジー」
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