白雪姫ネタ2 +
変化は、突然だった。



「鏡よ鏡、世界で一番美しいのは誰?」
『それは女王様、貴女です。貴女こそが、世界で一番うつくしい』

いつもと同じ、決まった答。その答に安堵して、さて眠ろうかと踵を返して鏡に背を向けたときだった。

『――けれども』

付け足された一言。
いつもと、違う?

「…けれども?何かしら」

嫌な予感が胸を過るのを無視して問い掛ければ、動揺して声が震えて。ああ、今の声は美しくなかった、なんて違う方向へ向かう意識を必死で留める。振り向いて再び鏡を覗き込むと、そこに写るのは私ではなかった。

『けれども、白雪姫の美しさが日に日に増しております。やがて白雪姫は、貴女の千倍も美しくなるでしょう』
「なっ――!?」

なんですって?
どういうこと?あの小娘?白雪姫が私よりも美しくなる?千倍?
理解したくない、と頭が思考を拒否する。うそ、うそよ。だって、昨日まではいつもと同じ、私が世界で一番って言ってたじゃない。そうでしょう?そのぎんいろは、私だけを写すためのもののはずじゃない。それなのに、

「…何故、私を写さないの…?」

装飾の施された銀色は、まだ幼い義娘を写すばかり。

「どうして…、あんたは、私の鏡でしょう…!?」
『わたくしは貴女のものですが、何を写すか、それは質問の答により変わります』

いずれは白雪姫の方が美しくなるから、だから白雪姫を写しているのだ、と。淡々と告げる低い声は、自分の知るそれとは違って聞こえた。



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白雪姫シリーズ楽しい
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