逆行ってのが流行ってるらしい +
※都合により名前はデフォ名の「誠」で書いてます





「バスケ部創るらしいね。私も入れてよ」

ばさり。

「照栄中出身、花宮誠。ポジションはPG。宜しく」
「「「「「「…は?」」」」」」

誰かが鞄を落とした音が響いた。
全員がとてつもない衝撃を受けて、反応出来ずに固まっている。
最初に口を開いたのは、木吉だった。

「…え…は、花宮、なのか…?」
「ふはっ、何だよその反応。クラス一緒だったのにまだ気付いてなかったのか?」
「え?…え?」
「ひでー奴。中学からの仲だろー」

ぽかん、と口を開いたまま呆然とする俺達を余所に、『花宮』を名乗る『女生徒』は親しげに木吉の背中をばしばしと叩く。
中学からの仲?そういえば今『照栄中出身』って言っていた様な。木吉と中学から一緒なのか?
え、花宮?
女子?
…花宮!?

「…あ、あのさ」

意を決した様子で、伊月が恐る恐る問い掛ける。

「花宮って…あの、『悪童』?」
「は?違うけど」

即答された。

「違う…?」
「『悪童』って呼ばれてんのはうちの姉貴の方」

姉貴!?
再び衝撃が走る。

「…ごめんね、花宮…さん、ちょっと待っててくれる?」
「んあ?良いけど」

リコが花宮(女子)に断りを入れた所で、逆行組――未来の記憶があるメンバーをそう呼んでいる――で肩を組み、輪になる。
顔を突き合わせ、小声で緊急会議を開始した。

「おい、どーゆー事だこれ!何だあれ!」
「女子だし誠凛だし木吉と仲良さげだし!」
「てゆーか姉貴って何!?『悪童』が学年違う女子って、無冠の五将はどーなってんの!?」
「落ち着きなさいよ、平行世界って可能性もあるでしょ!そーゆーの皆でこの前調べたじゃない!」
「成程、花宮に変化が起きた世界、という事か?」
「変わりすぎだろ!!」

全員でちら、と花宮(女子)を見る。
何時の間にか、どこからかバスケットボールを取り出していて、ボールハンドリングをしていた。

「…何あれ!?何だよあれ!?」
「あのくそムカつくマロ眉の面影ゼロじゃねーか!」
「いや、良く見ろ!眉毛はちょっとマロってる!」
「マロってるって何!?」
「良く見るとそれっぽい感じするけどな」
「ていうかまだあの子イコール俺らの知ってる花宮って決まったわけじゃないよな。もしかしたら双子の兄妹とかかも」
「つっちーナイス!ねー、花宮さーん」

コガがぱっと花宮(女子)に顔を向け、声をかける。

「何?」
「お姉さん以外に兄妹とかー」
「いないけど」
「じゃ、同い年のいとことかー」
「いとこは全員年下」
「親戚…」
「同い年の子はいない」
「…」

しゅば、とまた顔を突き合わせ、アイコンタクト。

「…確定じゃね!?」
「えっつまりどういう事?」
「花宮が女子で、木吉の同中で、普通にバスケしてる平行世界?」
「ぶっ飛んでんな!!」
「まあ、過去に戻ってるって時点で相当だし、今更だけどな…」
「何がどうしてこうなった…!」
「なあ、気になってたんだけど」

ふいに声をかけられて、全員同時に花宮(女子)を見る。
花宮(女子)は右手の人差し指の先でボールを回しながら、不思議そうに俺らを見ていた。

「木吉ってそんなに他中の友達いたっけ?」
「へ?」
「部活で休みなかったし、少ない休みの日は私とバスケしてたし、他の学校の奴と仲良くなる機会とか無かったと思うんだけど」
「えっ」
「試合した相手なら私にも顔わかる筈だけど、その人達は今が初対面だし」

木吉に視線が集まる。
お前こいつとバスケしてたのか?
気付いた時は高校直前だったから、中学の事はわからん。
真顔で、視線だけで会話とか。それも木吉ととか。要らないスキルを修得していた自分に少しテンションが下がった。

「(鉄平!適当に誤魔化して!)」
「(適当って言われても…)」
「それとも会ってすぐ打ち解けた?お前ならあり得そうだけど…いや、でも初対面でお前のボケについて来れる人とか…貴重だな。大切にしろよ!」
「(自己解決してくれた!?)」
「(言ってる事が彼女連れてきた息子に対する台詞みたいだな!)」
「ああ、大事な仲間だ!」
「(何言ってんだお前ー!!)」

木吉の頭を叩いてまた輪になる。
全員混乱し過ぎて冷や汗がやばい。

「もう受け入れるしかないのか?」
「…そっか、そうだよ!」
「どうしたコガ?」
「俺らが知ってる花宮はさ、男で、『悪童』で、木吉とそりがあわなくて、ひどい奴で、ゲスの極みじゃん?」
「まあそうだな」
「でもあの子は女子で、『悪童』じゃなくて、木吉と仲良くて、話聞く限りよくバスケしてたっぽい」
「そうね…だいぶ違う、というより…」
「…真逆?」
「可能性はあるだろ?花宮が色々反転した世界、っての、ありそうじゃね?」
「ありそう!すげーありそう!」
「もしその仮定が正しければ…」
「あの花宮って普通に良い奴!?」
「…ちょっと、調べてみるか」
「そうね…取り敢えず部活で様子を見ながら…」
「姉も気になるな。『悪童』って、何で『あの』花宮と同じ呼び名なのか」
「ああ。無冠の五将がどうなっているのかも知りたいし…」
「…今日も、火神んちで会議だな」
「「「「「「了解」」」」」」



**********
なーんてね。
ちなみに一年も逆行中。五人とも二度目の中学生してる。基本的に火神の家が集合場所。


雰囲気は

降・河・福「早く黒子と火神と先輩達と皆でバスケしたい!」
黒「黒歴史をもう一度とかつらいです。あとそろそろキセキの皆が厨二病患う頃なので僕ぼっちです凄く寂しいです」
火「早く元の時間に戻るか高校生になりてえ!です!」
先輩ズ「良いよ!!暇ならおいで!!一緒にバスケしようぜ!!」
一年「((((((っ*´∀`)っ」

な、感じ。
先輩大好きな一年と後輩大好きな二年で構成された誠凛可愛過ぎるなって。


この後花宮(女子)について調べたり会議したり誠凛がわちゃわちゃするのを考えて一人で萌えた。
誠凛が可愛いよぉ><ふえぇ
マジいきつら
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