恐竜 

※後半会話文 六頴館高校主


「あ、」

それを見たのは本当に偶然だった。

用事があって歩いていた道の途中、たまたま通った某Mの文字が大きくある店の前。歩き様に覗いた店のなかに思わず声をあげた。




いつものように訪れたお昼。いつものようにお弁当…と、この間見てしまったものを持って辻のもとへ

「おーい辻〜飯一緒に食おうぜ」

辻を呼んで声をかければ、驚いたように瞬きをした。

「あぁ…どうしたんだいつも食べてるだろう。それなのにいきなり誘ってくるなんて」

「いや〜今日はちょっと…ね」

「なんだ…?」

「そんな警戒すんなよ…対したことじゃないって」

「…本当か?」

「ほんとだって!渡したいものがあるだけだ」

「…渡したいもの?」

「あぁ…これ」

「…ティラノサウルス!?」

めったに声を大きく出したりしない辻が大きい声を出した。その事に少し笑いながら応える。

「おーおー。驚いてるなぁ…」

「これを…どこで…」

目は手の中のおもちゃに奪われたまま辻はそう呟いた。

「あーそれは…」

「(いい淀むような場所なのか…!?)」

「…某Mの店」

「…あそこのおもちゃ…!?」

そう。この間覗いたときに見えたのはこの恐竜のおもちゃだったのだ。しかも、しばらく時間が合わず、辻とはあの店にはいっていない。

「いや…ちょっと覗いたらあったから…辻が欲しそうだと思って…買った」

「ハッピーセットを…!」

「ちょっと恥ずかしかった…」

注文したとき…あのときの店員さんの優しい目線が…忘れられないぜ…

「…ありがとな」

「…まぁそんなに喜んでくれたならよかったよ」


そういえば、

「後半から違う恐竜も出るっぽかったぞ」

「…!!!」

いつもの数倍は辻の目が輝いてる。微笑ましく見ていたが思わず不安がよぎる…辻一人で某Mの店にいってほぼ確実に注文聞いてくれる人は女性だ…辻は注文できるのか…?しかもハッピーセット…

いや、できないだろう。これは…

視線を辻に戻せば、辻の目が着いてきてくれと訴えかけてくる

「…行くか?」

「(こくり)」

「じゃあ後半始まったらいくか」

(後日二人で行ったが辻はやっぱり注文のとき固まりました)

2016.0630

   end 

 
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