*隣同士が一番自然*

秋の気配なんて言葉、暦の上だけなんじゃないかって青空。
9月に入ってすぐの屋上は輝く太陽を吸収し茹だるような暑さ。

日陰の一角を陣取った私達以外にここでお昼を食べようなんて強者はいないようだ。

生暖かい…と言うより熱く緩い風が時折吹き抜ける中、盛大な溜息と苛立ち混じりの大声が聞こえる。

「だーーっ!!あっちー!誰だよ!こんなとこでメシ食おうなんて言ったヤツ!」
「あれ?この暑さのせいで針谷くんの頭もついに溶けておかしくなったのかな?…言ったのはお前。忘れたのか?」
「ウルセェ、佐伯!気色悪ィんだよ!オマエだって『いいな、それ。』とか言ってただろ!それにオレはハリーだ!」
「気色悪いのはお前。変なモノマネなんかするな。余計うっとおしい。あと…最後のは…絶対ヤだ。」
「あはははっ!ほらほら、二人とも喧嘩しないの。」

買って来たばかりのミネラルウォーターを、夏に弱いせいでだらしなく座るハリーと、対称的に涼しい顔で胡坐をかく瑛くんに渡し間に座る。

瑛くんとは元々珊瑚礁でのバイトで知り合い、ハリーとはなんとなく意気投合して仲良くなって。

最初は取り巻きの女の子対策とやらで一緒にいた瑛くんも、今では当たり前のように私達とお昼を食べるようになっていた。

小さ目のレジャーシートの上に座った私達がそれぞれの昼食に手をつける。

私は小さい普通のお弁当、瑛くんは購買のパン、そしてハリーは……。

「相変わらず凄いね…。ハリーのお母さんって。」
「あぁ、手抜きなしって感じだな。」
「だぁーーっ!!だからオマエらと食うのはキライなんだよ!」

お箱に入った和風のお弁当を私はフォークで、瑛くんは手づかみで横取りする。

薄味だけどしっかりとダシのきいた味付けは、京風というものなんだろうか。

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