*そして愛に変わるまで*

「………やっぱり信じられない……。」
「なにがだよ。」
「……瑛くんが…私を…す、す、す、きって…。」
「はあっ!?いまさらなに言って―――。」
「やっ、だ、だめっ!こっち見ちゃダメ!」

寄せては返す波音が聞こえる、静かで、そして俺が俺でいられる唯一の場所。

俺の部屋。俺のベット。そして、俺の腕の中で、肩までかけた薄手の掛け布団を頭まで引き上げてあかりが顔を隠す。

「ちょっと待て。いまさら隠してもしようがないだろ。」
「しょうがなくないの!前も、今も、これからも!恥ずかしいのっ!」
「なんだよそれ。つーか…こら。顔を出せって。これじゃ話も出来ない。」

明日からはついに修学旅行という日曜日。

もしかしたら顔を合わす事もままならないかもしれないと、あの日の帰り道に約束して、今、あかりは俺の部屋で俺の腕の中にいる。

何度となく同じ事をしたはずなのに、この部屋が明るく見えるのは穏やかな光りが差し込むからなのか、俺の気持ちが晴れやかだからか。

ふと、視界に映った光りの反射に頑なに顔を隠す布団をぐいぐいと引っ張る手を止め、窓の外を見つめる。
真っ白に輝く光りはこの間とは違って刺すような飛び込み目を細め、そしてあの日の俺を映し出した。

「俺はおまえが…あかりが好きだ。あかりだから触れたいと思った。あかりだからキスしたいと…抱きたいと思った。」

真っすぐ見つめ、ゆっくりと言葉を紡ぎ出す。

「…正直に言うと…最初はどうしてか分からなかったんだ。そう思うのが。でも、今ははっきり分かる。……好きなんだ…あかりが。」

告白の言葉がこんな内容だなんて、俺の言っている事はきっと端から聞けばおかしな言葉なんだろう。

それでも。

正直な気持ちを真っすぐに。

普段は言えないから。

こんな時だけでも素直に。

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