ふわふわと揺れる銀の髪。
胸元を擽る柔らかな前髪も、肌を食む柔らかな唇も、熱い舌先も。ほんの僅かな動きにすらぞくぞくと背筋をなにかが這い、ドキドキと胸が高鳴る。
瑛くんの指先の動きに身体が跳ね、自分の中から湧く熱いもの。吐きかけられる吐息にすら声が出て、また潤いが増すのが分かる。
「や…、だ、め…瑛く、ん……ぁあ…ッ…!」
彼にしか触れられた事のないその場所を擦るように刺激される度にびくびくと身体が震え頭の中が白くなっていく。激痛を伴う事が分かってるくせに、彼を受け入れたいとそこが疼く。
どうして?どうして断る事も出来ずに。…ううん、自分から受け入れてるの?
頭の中でもう一人の私が問い掛ける。
白く、ただ真っ白になっていく世界の中でその言葉を反芻させる。
どうして?
好きだから。
どうして?
見てくれるから。
絡まる視線。熱っぽく私を見つめる瑛くんが私の中に入ってくるのが分かる。
走る激痛。切り裂かれたような、小さな傷口にナイフを差し込むような、身体を突き抜ける痛み。
どうして?
私だけを…他の女の子達とは違う
私だけを見てくれるから。
どうして?
今、この瞬間だけは
私だけの瑛くんだから。
突き抜けるような痛みが違う感覚に変わっていく。それまで感じた事がないもの。
「…あッ…あ、あッ…!…やッ…瑛、くん…ッ…?」
身体の奥底から徐々に押し上がってくるような、刺激を受けているそこから広がってくる得体のしれないものに、ただ怖くなってシーツを掴む手を宙にさ迷わせる。
「………くっ…!…あかり…!」
肘をついて覆い被さっていた瑛くんの大きな掌に掴まれ名前を呼ばれ、慌てて振りほどいて背に回した。
繋がってなんかいない。私のは…私の気持ちは、ただの独占欲。好きだけれど、綺麗なものなんかじゃない。汚い真っ黒な気持ち。
この気持ちは知られたくない。知られて嫌われるくらいなら、ただの関係だけでいい。今のままがいい。少しだけ、少しだけ、この時間だけ。
終わりの瞬間(とき)を告げるように激しくなる律動で、大きな波のように訪れるなにかに身を委ねながらそっと気付かれぬように涙を流し、真っ白な世界へ足を踏み入れるのだった。
END