*求める事が愚かでも*

ベットに乗り切れなかったあかりの脚がジタバタと宙を泳ぐ。

いくらあかりがぼんやりだからといってもここ数日の出来事はインプットされているのかこの先なにが起こるのか分かるらしく、どこかに逃げ道はないかと忙しなく動く瞳が月明かりに照らされてビー玉のように輝いた。

つい最近あかりに触れた時なら、いや、あと数分、数十分前なら。こうやって慌てふためくあかりが面白くて、こう触れたらどう変わるかとか、どう反応するだろうかなんて考えていたはずなのに、本当は俺が嫌だから、あいつじゃなくて俺だから逃げるんじゃないだろうか、なんて。

あかりの上に乗り上げたまま、なにも映らない瞳であかりを見下ろしていると、ベットの縁に逃げ道を見つけたのか踵をかけてずり上がるあかりがもぞもぞと動き出し、ベットについた掌に髪が触れ瞬きをして意識を取り戻した。

指先で髪を伝い頬に触れ輪郭をなぞる。視線を頭上に上げ逃げ出せる空間を探していたあかりがびくりと身体を揺らし、漸く恐る恐る俺と視線を合わせた。

「……俺にされるから嫌か?」
「そんな―――!……………。」

何かを言いかけたあかりの唇は噛み締められ、ふいと顔が反らさせる。
僅かに揺れ動く瞳、差し込む光に輝くそれが、今のあかりの気持ちがいつもより遠くに感じて、輪郭をなぞっていた指先で顎を挟み俺に向けさせあかりの瞳を見ないように唇を塞ぐ。

「――――ん、ッ――!?――て……んふ…っ…んッ――!?」

慌てるあかりの開く唇から舌を忍ばせ絡め捕る。見開いた瞳がぎゆっときつく閉じられたのを確認してから顎を捕えた指先を下ろし、ブラウスのボタンを外していく。俺の肩を押しのけようとする掌にも構わず一つ一つ。その度に白い肌がちらと見え隠れし、最後の一つを外すと布の重みで肌の上を滑り丸みのある身体が浮かび上がった。

「――ッ――!!んふふッ――!!」

咥内を掻き乱すような俺の口付けに乱れた呼吸が胸元を揺さ振る。柔らかそうに揺れるそこのラインから先、全てを目に映すにはこれも邪魔だと脇腹にあるスカートのホックに指先をかけると、それまで以上に抵抗しようとするあかりが顔を振り口付けからも逃れようとするから、それを追いかけながらホックとファスナーを下ろし強引に引っ張って、薄くて頼りない布だけに身を包んだあかりを月明かりの中へと露にさせた。

「―――っ―――て、瑛――くん―――!!」

一瞬意識がそこにいき、逃れて離れた唇から銀糸が繋がり切れる。
身を隠すように慌てて身体を丸めてころりと転がるあかりが恥ずかしそうに顔までも俯かせる横顔に、何か分からない感情が込み上げ指先をそっと伸ばして肩に触れた。

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