*そんな君は知らない*

身を乗り出すように私に向かう瑛くんの顔が……近い。

「あ、あの…。それで、相談って…?それに…なんだか…近いんです、けど。」
「えっとさ…ちょっと…実験台というか。相手になって欲しいんだよな。」
「なっ、なんの!?」

ジリジリと近付く瑛くんと距離を置こうとジリジリと下がる私。
何がなんだか分からないけど、危険を感じて後退りして―――。
トンとベットの背もたれにぶつかり行き場をなくす。

「女子の身体ってさ…どう違うのかなーって。…おまえで確かめさせて?」

――――はい?……今、なんて言った、の…?

それはあまりに衝撃的な言葉で間近に迫った瑛くんの顔を凝視する。

身体の違いって……確かめるって……なに!?

頭の中で何度も繰り返し反芻させて、ようやく意味を理解する。

「な、な、な…!なに冗談…!!」
「そんな訳ないだろ。大丈夫、最後までする訳じゃないし。ちょっとだけ見たり触ったりした――――」
「そんなの私に頼まないでよ!」

似合わなさすぎる言葉を口にする瑛くんに、冗談じゃないと途中で口を挟む。
―――そう。冗談じゃない。
恋愛感情があるとか付き合ってるならまだしも、まるでそれに興味があるからみたいな。
それ以前に――。

「ほら、瑛くんを好きな子がいっぱいいるんだから、その女の子達の中から選んで――。」
「おまえ、バカ。本当の俺を知ってるのはお前だけなんだから、おまえしかいないだろ。」
「いや、それはちょっと無理があるよ。内緒にしたらきっと大丈夫。あっちの瑛くんの言う事なら聞いてくれるって。」

どんどん近付く瑛くんの肩を両手で掴んで押しながらアハハと乾いた笑いで拒否を示す。

「そうだとしても、俺は嫌。前から言ってるだろ。おまえはそういう運命なんだって。」
「そっ、それは女の子達から助けるのが運命って意味だったじゃない。これはまったく違うよ!」
「……一緒。この世界で俺の秘密を握ってるのはおまえだけなんだからな?俺に関する事に巻き込まれるのは、おまえの運命、なんだよ。」
「――この世界って大袈裟…ゃッ…」

ぐいと顔を突き出した瑛くんの唇が左耳に触れ、フッと息が吹き掛けられるとぞわりと鳥肌がたつ感じがしてギュッと目を閉じ肩を竦める。

「……ひゃ…!」

続けざまに感じる刺激に驚いて目を開けると信じられない光景が目に飛び込んできた。

「うわ…すご…柔らかい。」
「やっ…!ちょっ…瑛くん!」

押し返していた両手の力が抜けた隙に身を寄せたのか手の長さが違うからか…瑛くんの身体の隙間から私の胸をやわやわと揉む手が見える。
カッと耳まで熱くなり何とか逃げ出そうと身をよじると、つっと耳の裏の筋を舐められかくりと力が抜けた。

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