*こんなの不条理だ!*

その先っていったい何なんだよ。
告白して受けて貰ったんだったら、それ以上先なんてないだろ!
出来るだけ穏やかに爽やかに。そして顔の筋肉を総動員させて名前も知らないスポーツマンAに質問をぶつける。

「……それで?っていうか、その先って…なに?」
「またまた。分かってるくせに。佐伯も役者だな!」

だから。何を分かってるって言うんだよ!
役者なのは否定のしようがないんだけど、いったい何を聞きたいんだよ!
さっきのクラスメートといい、こいつらといい、はっきり言えよ!

…とはやっぱり言えぬまま催促ばかりを繰り返す。

「…そろそろはっきりと聞かせてくれないかな?僕も友達を待たせてるし。早く行かないと。」
「お?って事は、レクチャーしてくれるんだな?」
「何も聞いてないのにレクチャーも何もないよ?」
「それもそうだ。…実はな?俺達が佐伯に聞きたいのはだな。ズバリ、彼女との行為なんだよ!」

………はい…?…今…なんて…?

「佐伯が女子の告白をことごとく断るのって、彼女がいるからなんだろ?なぁ、どんなタイミングでするんだ?」
「ちょ、ちょっと待ってよ!どうして僕に彼女がいるなんて話に―――。」
「大丈ー夫だよ。誰にも言わないからさ。だからさー、教えてくれよー。キスのタイミングとか、する時のタイミングとかセリフとかー!」
「なっーーー!!」

何を勘違いしているんだ、こいつは!って言うかこいつらは!!

慌てて俺を囲む男子達の顔を見渡せば、それぞれが期待に満ちた瞳を輝かせ俺の言葉を待っている。

冗談じゃない!そんな事俺が知るわけがないだろう!

告白さえした事ない俺に彼女なんているはずもなく。
そんな俺がどうやってその行為を知る術ががある!
言葉をなくしバカみたいに口をぱくぱくとさせる俺の腕に男達がすがり付く。

口々に叫ぶのは、さっきとあまり変わらない、でもさっきよりも遥かに生々しい言葉。

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