*そして愛に変わるまで*

相手を思う気持ちがいかに大事かとか、思われる事も大事かとか、そんな事すら考えないであかりとひとつになっていたんだ、俺は。

好きでもない奴にこんな事はしない。それは、はっきりと言える。
でも、それがなんなのか考えた事なんてなかった。目の前の欲望しか見えていなかったんだ。

「………く、ッ…!」

少しだけ吐き出したい欲をやり過ごし、あかりの内側を刺激する俺の汗ばんだ首筋に回したあかりの腕に力が入り、俺を引き寄せる。

指先を絡める方の肘で体重を支えていた左胸に、揺さ振られ続けるあかりの膨らみが擦れ、ぞわぞわと電流のような快感が走り、反対側も肘をつき絶え間無く押し寄せる波に眉を寄せた。

俺の息遣いに合わせたように軋み続けるベットのスプリング。耳障りなはずのその音すら気にもならない、あかりの甘く切ない声。鼻先に感じる吐息。

今までよりも、さっきよりも、正確に感じ取れるあかりの高まり。

今までよりも、さっきよりも、敏感に感じる俺の身体。

ただ、快楽を感じるためだけの行為ではなく、通じ合った気持ちでひとつになる。それが一番大事な事で、今、誰よりも好きなあかりとひとつになっている。

そう感じるだけで包み込まれる俺自身が震えるのが分かる。その部分から全身に巡るもの。頭の中がだんだんと真っ白になっていく。

――――もう、これ以上は―――。

「限界」そんな言葉が浮かんだ瞬間、それまできつく瞼を閉じていたあかりの目がゆっくりと開き、潤んだ瞳が俺を捕らえ小さく首を振った。

「……あぁッ、…ぁッ…!…てる、く…。わたし…も…ッ…!」
「…あぁ…。わかっ、てる…ッ…!…一緒に……い、こう…?」

合わせ貝みたいに絡めた指先をそっと解き、肘をついたままあかりの頭を抱え込むと、俺の問い掛けに応えるように首筋に回すあかり。

揺さ振りを早めるたびに軋むベットの音が、あかりの甘い声が、俺の吐く息の中から漏れる声が大きくなり部屋を満たす。

独特な芳香、少し粘着質に届くあかりの蜜の音。

貫くあかりの中で反対に扱かれていた俺自身が膨らんだ瞬間、「てるくん」とうわ言のように小さく呟くあかりの声に、すぐそばまで来ていたものが押し寄せ、薄く開いたままの唇に俺の唇を押し付けるように重ね、奥深く、あかりの熱い胎内で絶頂を迎えたのだった。

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