*子供時代

「……宿題が終わった後に飲む瑛くんのコーヒーって本当においしいよねぇ?」
「……終わったのは俺だけ、だろ。おまえはやっと一教科だけなんだから、これを飲み終わったら終わらせるからな?」
「……う。ま、まだ飲んでるもん。休憩は終わってないんだもん。」

向かい合う小さなテーブルの向こう側で焦るあかりがコーヒーカップを両手に包みちびちびと口にする。
そんなに勉強が嫌いなのかと苦笑いを浮かべ、試したブレンドの香りを確かめるようにカップを鼻先に近づけ立ち上る香りを嗅いだ。

「ね、せっかくなんだし、瑛くんの小さい頃のアルバムとか見たいなぁ〜」
「…………は?」
「だって、気になるでしょ?瑛くんの小さい頃。」
「……なんでだよ。つーか、そんなの見なくても分かるだろ。可愛い子供だったんだよ。」
「…………小さい頃は?」
「うるさい。今も、なんだ。」

いつの間にかテーブルにコーヒーを置いたあかりが、興味津々とばかりに身を乗り出して瞳を輝かせている。

なんでいきなりアルバムなんだ?と、思いながらも僅かに鼻についた違和感のある香りに意識を向けながら適当に返すと、バンバンとテーブルを叩く音に顔を上げあかりに向けた。

「みーたーいー!瑛くんの可愛い子供時代みーたーいー!」
「おまえは 子供か!」
「いいもーん、子供だもーん。ねぇ、見たいよー!」
「こっ、こら!コーヒーがこぼれる!」

テーブルを叩くだけでは飽き足らないのか、ガタガタと揺らし始めたあかりを窘めながらテーブルの上で踊るあかりのカップを持ち上げると、話がまったく進まないのにふて腐れたのか盛大に頬を膨らませてじっとりと俺を見つめた。



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