気まずい日々と贈り物

―――なんだか疲れてる?

そう思ったのは三月に入ってすぐ。
お店と試験勉強の両立で、いつもより大変なのかなって思った。
私は今回も試験前からお休みを貰ってる。

お店の役に立ってるなんて思わないけど、もう一人居れば少しは違うんじゃないのかな。

そう思って、佐伯くんに私が思ってる事を話してみた。

「これは最初に決めた事だろ?それはちゃんと守らないと。それに、別にそんなんじゃないし。」

少し溜め息混じりでそう言われてしまって。
『そんなに疲れてる感じで言われても、説得力なんてない。』って言ったけど、上手くチョップでごまかされて。
笑った顔に元気がなかったのが気になり……。

「なんや〜?天音、今回はトップちゃうやん。」

「だから、たまたまヤマが当たってただけだったんだって。」

テストも少し上の空だった。なんて言い訳にしかならない。

そんなに順位が落ちた訳じゃないけど、ケアレスミスがいくつかあった。
その問題は、テストの日に見直してあるからもう大丈夫だけど。

「ほんならさ。帰りどっか寄ってかへん?テストも終わった事やし。」

「ごめん。今日は早く帰らないといけなくて。」

本当はそんな事ないんだけど、寄り道してたら遅くなっちゃう。
それに、時間が起ったらもうそんな勇気出ない気がするし。

はるひちゃんに、ごめんねと謝りながら教室に戻る。
相変わらず佐伯くんの席は、女の子達でいっぱいだった。

「ほんま、いつ見てもって感じやなぁ。あれじゃ戻れんやろ。もうしばらくこっちにおる?」

「う、うん。そうだね。ちょっと無理そうだよね?」

自分の席を指差して、前を歩くはるひちゃんの後に続く。
何処かに行っているらしい隣りの席の子の椅子を借りて、はるひちゃんの席に引き寄せた。

「佐伯くんすご〜い!!」

「そんな事ないよ。 たまたま、だから。」

「そうやって謙遜する佐伯くんって、カッコイイ〜!」

キャアキャアと騒ぐ女の子達の真ん中で、困ったように柔らかく笑う佐伯くんに、一段と黄色い声が跳ぶ。

びっくりして振り返ったはるひちゃんの横顔は、言葉にしなくてもよく分かった。

ホント、すごいよね……。
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