揺らめく海の底

今年のお正月。パパとママは帰って来なかった。

……そんな気はしてたけどね?

だってクリスマスとニューイヤーパーティーは凄いらしいって前から騒いでたから。

寂しくはない。みんながいてくれる。美奈ちゃんや珪くん。おじさんもおばさん 尽くんだって。

それに 大切な友達。

冬休み最後の日曜日にみんなで遊ぼうって話になった。
言い出しっぺは はるひちゃん。メンバーもすでに決まっているらしい。

「天音に電話する前に声かけたんや。まさか 全員来れると思わんかったで女子が一人多くなってな〜。もう一人男子呼びたいんやけど誰かおる?」

「女の子でいいでしょ? どうして男の子じゃないとダメなの?」

「そりゃあ 味気ないやろ?」

そういうものなのかな?
私はどっちでもいいんだけどな。

……男の子か……
それなら 彼に聞いてみようか?
みんなと行くのなら 断られるかもしれないけど。

「はるひちゃん?私 電話して聞いてみようか?」

「なんや 天音。あてがあるん?」

「うん。忙しいって言われるかもだけど、今から電話してみるね?」

「頼むわ! 誰か気になるけど、日曜のお楽しみにしとくわな?」

どうか分からないから、あまり楽しみにしないでね?と電話を切る。

この時間ならまだお店も開店してないし、大丈夫かな?

きっちり三回コールの後 聞き慣れた声。

『天音? どうかしたか?』

「あ! 佐伯くん!今電話して大丈夫?」

『あぁ。大丈夫。どうした?』

はるひちゃんが 日曜にみんなで水族館に行こうって誘ってくれた事。
当日行ける人数と名前を話した。

『なるほどな。で、メンツが足りないって事か。そうだな……。ん いいぞ?』

「ホント? よかった〜! みんながいるから断られるかと思ったんだけど。」

『まぁ 暇だし……いろいろ……な。待ち合わせはいつもの駅か?』

「うん。そうだって!あ!でもよかったら一緒に行かない?」

佐伯くんは 私が声かけたんだし、その方が行きやすいよね? きっと。

『あ…… うん。そうするか。じゃあ いつものとこで。』

「うん。いつものとこでね?じゃあね!」

佐伯くんも海が好きだし、きっと私と同じで水族館も好きだよね?

なんだか すごく楽しみだよ……
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