私に出来る事

秋は足早に過ぎていく。あちこちの木々も赤や黄色の葉を散らしている。

(空高〜い。あ!イワシ雲)

昼休み 屋上から空を眺める。風もだんだん冷たさが混じって、もうすぐ冬って感じ。
その証拠に、参考書を開けてる生徒が増えてきた。

「オッス。天音!」

「あ! オッス ハリー。どうしたの?」

「いや? オマエが上見てたから、何かあるのかと思ってな」

「えっとね?やっぱり焼きイモだよね?」

「なんだそりゃ?」

「あ、違った。秋だよね?」

「ハハハ! そんなに食いてーか!」

「美味しいんだよ?焼きイモ!」

ちらりと頭を過ぎった方が口から出てしまった。だって 好きなんだもん。

「じゃあさ。森林公園の焼きイモの屋台って知ってるか?」

「ううん。知らない」

ふるふると首を振る。屋台なんてあったんだ。

「すっげー 旨いんだぜ?今日の帰り行くか?」

「行く!」

今日はバイトも予定もないし。
そんなに美味しいのなら食べてみたい!

「じゃあ 帰り迎えに行くわ。じゃあな!」

「うん!」

軽く手を上げハリーは屋上から出ていく。
その姿を見送って また空を見上げる。

薄いベールがかかったような空は 夏の青とはまた違ってて。
そのまま海に目を向ければ、また同じ色。
光りの反射がなかったら、きっと空と海の違いなんて分からないんだろうな。

うん。今日もやっぱり幸せ。
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