花屋と彼氏とコーヒーと

午後からの授業って眠いんだよね……
窓に近いからポカポカしてるし、お腹はいっぱいだし。
どんな授業でも子守唄に聞こえちゃうよ…
体育だったら 体動かすから眠くならないのにな……

欠伸を噛み殺しながらノートをとっていると、隣の席から小さく折り畳まれた紙が投げ込まれた。
何だろ? 静かに紙を広げてみる。

「今日の帰り 店の買い物に付き合え」

「付き合って」じゃなく 「付き合え」。
すでにこれは業務命令。拒否権はなし。
今日はバイトの日なんだし、断るつもりはないけどね。

返事を書こうかと思ったけど、どうせ一言なんだし。と佐伯くんを見て 「わかった」と口を動かす。
にやりと笑った彼は 今度はノートに何か書きこちらに向けた。

「でかい口で欠伸してるぞ?」

してません。欠伸はしてるけど、大きな口は開けてません。

佐伯くんは、時々こうやって授業中にちょっかいをかけてくる。
そういう時の彼の表情は、なんだかとても子供っぽい。
……って言うより、こっちが本当の佐伯くんに見えるんだけど。

HRが終わって、真っ先に佐伯くんが教室を出る。
――女の子達に捕まらないように。
私はゆっくりと教科書を鞄に入れ、時間を置いてから後を追う。
裏口を出ると、佐伯くんが壁にもたれて待っていた。

「遅い!」

「あんまり早くても 怪しまれちゃうよ?」

「それはそうだけど」

なんだか矛盾してる。
まぁ お店が開くまでにお買い物しなきゃダメなんだから 仕方ないけど。

「じゃあ 行くか」

「何処へ行くの?」

「今日は商店街。普段は配達頼むんだけどな」

「ふーん」

相変わらず早足だから、小走りでついて行く。
もうずいぶん慣れたよ……

こんなところで誰かに会ったら、きっとただでは済まないよね?

………私が。
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