思いがけない日曜日
どうしてこんな事になっているのだろう…。
いくら考えても、出るはずのない答えを探している。
今日は 10月15日 日曜日。絶好の秋晴れ。
場所は はばたき駅前。
彼好みの、いわゆるピュア系と言われる服で身を包み、普段は下ろさない髪をわざわざ下ろし待っている。
彼 ―――葉月 珪―――を
事の始まりは、昨日の土曜日。
いとこの美奈ちゃんからもたらされた、お願いという名の命令。
「天音ちゃん!お願いがあるの!」
「なんか やだ!」
「まだ何も言ってないよ?」
「なんか嫌な予感がするの!」
「そんな事ないって!私の代わりに珪くんとデートしてくれるだけでいいんだから!」
「そんなのやだ!」
「どうして?」
「だって目立つんだもん!それに、知り合いに会ったらやだ!!」
「だいじょーぶ!」
何故か自信満々の美奈ちゃんが胸を張る。
その自信はいったいどこから来るの!
「髪を下ろして ちょっと巻いて、お化粧したら バッチリわからないよ!」
「そんなのわかんないよ!」
「だいじょーぶ! 私がちゃんとやってあげる!」
結局 朝から無理矢理服を着せられ、髪を巻かれてお化粧されて追い出された。
「自分が行けないんだったら、中止すればいいのに……」
確かに これならパッと見 私だと気付かれる事はないだろうけど。
ガラスに写った自分の姿に溜め息をつく。