勘違いの海

天音Side

八月も第二週。

「……あつ……。」

こんなに暑いと 勉強なんてはかどらない。
宿題は 終わったから 今は二学期の予習。

「無理!休憩!」

ゴロンとベットに寝転がる。
開けた窓から 風は入ってくるけど、風は暑いし 蝉の大合唱で、暑さ五割増しな感じ。

「暑いよ〜 海行きたいよ〜〜」

真っ青な空を眺めながらぼやく。

その時、携帯の着信メロディが鳴り、私の叫びが誰かに通じたのかと びっくりした。
画面を見れば もっとも海に近い人。
そして 初めての電話。

(シフトでも変更あったのかなぁ)

そんな事を考えながら、通話ボタンを押す。

「もしもし?」
「もしもし? 遅いんだよ。」
「……ごめん。」
「まぁ いいけど。それより お前今日暇だろ?
海 行かないか?」
「暇って決め付けないでよ。暇だけど。もちろん 行く!」
「じゃあ 店集合。あ 水着持って来いよ?」
「海に行くんでしょ? 当たり前じゃないの?」
「あははは。あ〜 スクール水着ってボケはなしな。じゃあな」

(……スクール水着って……佐伯くん もしかしてオヤジ?)

携帯を握りしめ固まる。
でも、そこでふと気付く。
私が持ってるのって アレだ。

黒の水玉ビキニ。

珪くんが選んで、美奈ちゃんが買ってくれた……。

(あれからも 他の水着買わせてくれなかったんだよね……)

どう悩んでも これしかないから諦めて用意する。
遅くなったら きっとチョップが待ってるはずだもん。

(絶対 私そのうちバカになるはず)

手加減なんかしてないよね。
だって、すごく痛いんだもん。
これ以上 痛い目には遭いたくないから 慌てて家を飛び出した。
prev 1/9 next

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -