海の花 陸の花

花火大会に行くなんて初めてだ。
それも、女の子と。

浴衣を着て、鏡の前に立つ。

「こんなもんか……。」

ふと 妙に気合いが入った自分に焦る。

(花火大会なんだから 大丈夫だろ?でも、あいつが 着て来なかったら?)

なんか 自分だけ浮かれてたみたいで格好悪い。
しばらく 鏡とにらめっこして悩む。

(まぁ いいか。)

あっさり気持ちを切り替えて、家を出た。
のんびり行っても 間に合うぐらい余裕を持って出て来たつもり。
ついこの前までは 面倒だと思ってたのに。
たった 3ヶ月いるだけでこんなに自然になるなんて。

(いいんだか 悪いんだか。)

たぶん 考えても答えは出ないだろうけど。
海を眺めながら歩く。

(海も行きたい――だったか。あと 遊園地。)

この二つはさすがに無理か。誘う理由がない。
今回は たまたま誕生日があっただけだ。

「理由ねぇ。」

いるんだろうか……。あいつなら、普通に誘っても受けてくれるような、くれないような………。

「つーか どっちなんだ。」

デカイ独り言にハタと気付き 頭をガリガリと掻く。なんか 調子狂う。
別に あいつが何かしたわけじゃない。俺の感情のせい。

今まで、こんなに近くにいた人なんていなかったから。

(お前って 今も変わんないのな)

俺もたいして変わんないけど。
お前はいい意味で 俺は悪い意味で。

(まぁ 俺の事なんて、すっかり忘れてるみたいだけど?)

自分で考えて自分で落ち込む。
なんか 俺バカみたい。
覚えていてほしいのか ほしくないのか、それすらもわからない。

この感情がなんなのか。
prev 1/7 next

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -