初めての体育祭

高校になって初めての体育祭。
やけに朝早くから目が覚める。

……なんか遠足を楽しみにしてる小学生みたい……。

着替えを済ませてリビングに行くと 美奈ちゃんがお弁当を作っていた。

「美奈ちゃん おはよ〜」
「おはよ。天音ちゃん。ねぇねぇ 見て見て?」
「わぁ!可愛い! 今日は珪くんとお出かけ?」
「え〜〜? 違うよぉ!これは天音ちゃんの!」

……はい?今の 聞き間違いかな?

「えっと………?」
「だから 天音ちゃんの!初めての体育祭だからねっ!」

張り切っちゃった!と笑顔で話す美奈ちゃんに軽い目眩を覚える。

「珪くんも 天音ちゃんの体育祭見に行きたいって……。」
「ちょ……ちょっと待って!!」
「ん?なぁに? 」
「……まさか……来ないよね?」
「ダメ?」
「ダ、ダメだよ!」

ダメに決まってるじゃない!
ただでさえ目立つのに!
相変わらずこの二人は自覚がない。

「ん〜〜残念。でも 私も珪くんも出なきゃならない講義があるから 無理なんだけどね……。」

その言葉にホッと胸を撫で下ろす。
よかった……。 ホントに。

まだ始まってもないのに 疲れてる私ってなんだろう……。

重い足取りで校門をくぐる。

「おはようございます。大崎さん! ……元気ないようですけど どうかしたんですか?」

顔を上げると 生徒会の仕事の最中らしい千代美ちゃんがいた。

「おはよ 千代美ちゃん。なんでもないよ? 元気だから心配しないで?」

そうだよね? せっかくの体育祭なんだから頑張らないと。
準備運動だの先生のお話だの生徒にとっては ひどく退屈な事が終わると みんなそれぞれクラスの控え席に散らばっていく。
私が出る種目って何番目だっけ?とプログラムを見ていると


「おはよ 天音チャン。何 にらめっこしとるん?」
「あ! クリスくん おはよう。んとね? 私が出るのっていつかなぁって。」

どれに出るん?と前屈みになって顔を近づけたクリスくんとパチッと目が合う。

「え〜っとね。100mと二人三脚に出るんだけどね?」
「100mは3番目やなぁ〜。二人三脚は……。」

ん〜〜と言いながら種目を眺めるクリスくんの瞳を見た。

珪くんの緑の瞳は綺麗だけど、青い瞳もやっぱり綺麗な色だなぁ。それに珪くんの瞳は落ち着いた感じだけど、クリスくんのは明るいって感じだよね。


「天音チャン どうしたん? そんなに見つめられたら照れるわぁ」
「あはは。ごめんね? 青い瞳ってガラスみたいに綺麗なんだなって思って。」
「ありがとう。褒めてもらうと嬉しいわぁ。でも 誰と比べとったん?ボク そっちが気になるんやけど」

別に比べたわけじゃないんだけどな。
どう答えようかと思ったところで 後ろから声をかけられた。

「天音! あんた次の種目じゃなかった?」
「あ!はるひちゃん もうそんな時間なの?」
「も〜 しっかりしてな?みんな並んどるで?」
「あ。ホントだ!じゃあ はるひちゃん クリスくん!行ってくるね〜!」

二人の声援に手を振りながら 列に並ぶ。
どんどん近づいてくる順番に軽く緊張する。
アレがなかったら 走るのは嫌いじゃないんだけどな。
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