プロローグ 〜ここから始まる 私の物語〜

最後の荷物を、とりあえずクロゼットに押し込む。

「やぁ〜っと、終わった!」

私は、ゴロンとベットに転がった。

「ふふっ お疲れ様。」

彼女は、小波 美奈子ちゃん。4つ年上の私のいとこ。

「お疲れ。」

彼は、葉月 珪くん。人気モデルで 美奈ちゃんの彼。
私、大崎 天音は 今日から美奈ちゃんのお宅にお世話になる。
……と言うのも、父親は海外赴任。
母親と言えば……。

「パパと離れたくないもの♪」

……と、ついて行ってしまったから。
いつまでたっても ラブラブなんだから!
私はと言うと、大学は1流って決めてたから行きたくなかった。
その話を聞いた 美奈ちゃんのおじさんとおばさんが

「じゃあ 家に来ればいいじゃない」

なんて言ってくれたから 渡りに船って感じで 今日美奈ちゃん家にお引越し。
だって 1流大学に行きたい1番の理由は 美奈ちゃんと同じ学校に行きたかったから。
それなのに 毎日一緒だなんて 夢みたい!
小さい頃から 美奈ちゃんは私の憧れで…
優しくって 可愛くて 頭もよくて。
珪くんに言ったら 笑いながら

「ぼんやりだぞ?」

なんて言ってたけど。
ぼんやりじゃなくて ふんわりなんだよ?
美奈ちゃんは 綿菓子みたいな感じなの。
私も あんな女性になりたいな……。
それに 珪くんみたいな素敵な彼氏を作りたい。
美奈ちゃんが言ってた、運命の恋をしてみたい。
……なんて、これは2人には内緒なんだけど。

「さて! 天音ちゃん これからどうする?
少し 散策でもしてくる? せっかく帰って来たんだし。」
「子供の頃、住んでたんだよな?」

そう 私は以前この町に住んでた。と言っても 小さかったし覚えがないけど。

「うん!そうなの だからちょっと行ってくる! 学校までの道程も確認したいし。」
「迷子にならないでね?」
「……迷子になるなよ?」

なんて 揃って言わなくても!
確かにちょっと方向音痴かも知れないけれど…。
迷子になんてならない…はず!
でも 2人は本当にお似合い!
う〜ん 羨ましい。

「じゃあ 行ってきます!」
「いってらっしゃい」
「気をつけてな。」

仲良く寄り添う2人に見送られて 家を出た。

「ホント お似合いだなぁ」

振り返りながら2人に手を振り、 独り言を呟く。
今から私が通う 羽ヶ崎学園の方まで行ってみようかな。
ここからなら 美奈ちゃんが通ってた はばたき学園の方が近いんだけど 私は海が近い 羽ヶ崎を受験した。
大学の事を考えたら はば学の方がいいって パパやママは言ったけど 私はどうしても羽ヶ崎がよくて。
ホントは理由なんて自分でも解らないんだけど。

ひとつだけあるのは 海が近いから。
子供の頃から 海が大好きで……。
なんでだろ 懐かしいって気がするんだよね……。
だから すぐ傍に海があるって聞いて 受験を決めたんだ……。
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