海の花 陸の花

――来年の話をしたら鬼が笑うんだっけ? ちょっと違うな。

「多分 空けなくても、空いてるとは思うけどな。」
「え〜? どうして?」
「今年も行くつもりなかったし。」

今回は、勢いで誘ったようなもんだしな。

「来年は、わからないでしょ?行きたいかもだよ?」
「どうだかな? まぁ 行きたかったらお前でも誘うか。相手が出来たら、早めに言ってくれ。」
「じゃあ 空いてるって早めに言うね?」

だから なんで出来たじゃなくて、いないなんだよ。
やる気ないだろ。まぁ いいけど。

いつもの曲がり角まで来て、今まで手を繋いでた事に気付く。

(少しの間に、これが自然になってたみたいな……。でも これじゃ……)

頭に浮かんだものを、振り払う。
そんなつもりないし。

「ここで いいのか?」
「うん。すぐそこだから 大丈夫だよ。今日はありがとう。気をつけて帰ってね?」
「あぁ じゃあ。またな?」

離した手で バイバイと振る大崎に手を振り返す。
自分が子供っぽい仕種をするのに笑えるが、たぶん大崎にだけ反応するんだろう。

――昔と同じ空気を持つ子――

自分だけが 色々思い出すのが悔しい気もするけど。

(そういえば、自分から言ってなかったな )

携帯を取り出し アドレスを呼び出す。

『今日は楽しかった。またな』

アドレスまで、登録したのは知らないだろうから 驚くだろうか?
そんな事を考えながら、送信する。
ちゃんと 名前も入れてあるから 俺だってわかるだろうけど。

すぐに受信ランプが点灯する。

『 こちらこそ。今日は 本当に楽しかった。ありがとう!また 誘ってね?おやすみなさい。』

驚かないのか?普通驚くだろ。
まぁ いいけど。そんなとこが あいつらしいし。
また 誘っていいんだ。ふーん そっか。

後で カレンダー見てみようかな……と携帯を見つめながら帰った。
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