海の花 陸の花

空中庭園につくと、屋台が出ていて大崎の瞳が輝き出す。

「佐伯くん あれ見たい!」
「いいけど。奢らないぞ?」
「そんな事 言いません!」
「冗談。行くか」

ヨーヨーだの 金魚すくいだの りんご飴だの 大崎は楽しそうに覗いている。
結局 何も買わない大崎に聞いてみる。

「さっきの冗談だぞ?何かないのか? 奢るぞ?」
「え? ないよ? 私 見たいって言ったよね?」

キョトンとした顔に笑う。

「お前って安上がりなのな。」
「そうかなぁ?」
「あぁ。」

とりあえず 場所とりを考えて、早めに切り上げ移動する。

「上からって どんなだろうな。」
「だよね。高いとこからなんて、初めてだから楽しみなんだ。」
「俺も。この辺りでいいか?」
「うん。」

まだかなぁ?と、空ばかり大崎は見上げている。
見た目は 大人っぽいのに、やけに子供っぽい仕種が見ていて飽きない。

「お前さ 前にいたとこじゃ行かなかったの?」
「行ったよ? いつも両親とだったけど。」
「ふーん。仲いいんだ。」
「あの二人はラブラブだから。」

質問と答えが、合っていない気がする。
しかし ラブラブって……。

いや。待てよ?
たしか こいつを迎えに来た両親は手を繋いでたな。今でも変わらないのか?それは すげー。なんか、見てみたいかも。

記憶の底から、色々引っ張り出して感心する。

「佐伯くん!始まるみたいだよ!」
「あ? あぁ。」

大崎に、手を引っ張られて見上げると同時に花火が上がる。

「綺麗……」

呟く声に見下ろせば、光りに照らされた大崎の横顔。

「あぁ。綺麗だ。」
「ほんと 綺麗だよね。」
「うん。綺麗。」

そこで ハタと気付く。

( 今、口に出してた?つーか 俺 大崎見てた?)
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