海の花 陸の花

マイナス思考な考えで歩いていたら いつの間にか待ち合わせ場所で……。

(たしか、時計台の下だったか。大崎は……と)

人込みに埋もれるタイプじゃないと思うけど……。
人の波を掻き分けると ひときわ目立つ女が、ひらひらと手を振る……。

やっぱり 大崎だった。

青の浴衣で髪を纏めた大崎は、とてもじゃないが同い年には見えないくらい大人っぽい。

「こんばんは。佐伯くん。」
「あぁ 悪い。遅れたな。」
「違う違う。私が早かったの。なんか 楽しみで落ち着かなくて。」

イベント事に弱いんだよと笑っている。

「浴衣着たんだ。」
「うん。佐伯くんもだね。」
「あぁ。似合うな 。」
「ありがと。佐伯くんも似合うよ。」
「まぁ 俺は当然だけどな。」

当然なんだ?と笑った顔は、いつもの大崎でホッとする。

(そう言えば 最初に見た時も、同い年には見えなかったな)

最近の、大崎に慣れてたから忘れてたけど。

「どうかした?」
「いや?なんでも。行くか。」
「うん!も〜楽しみ!空中庭園が、よく見えるらしいんだって。」

場所は知らないんだけど。なんて続けるから笑う。

「来たことないのか?」
「うん。あっても多分わかんない。」
「なんで?」
「私 方向音痴なの。」
「まじ?」
「まじ。全力で記憶力使わないと覚えられないの。」
「そういや お前……前に店の前で迷子になってたな。」
「やっぱり覚えてるよね……。」
「忘れない。」
「よね?」

意外な話を聞いたなと思ったが これはマズイんじゃないか?
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