君の色 瑛Side

今日の自分は、いつになく素直なので ついでに聞いてやれと疑問を大崎にぶつけてみる。

「なぁ さっきさ。前見た時も、俺っぽいって思ったって言っただろ?」
「ん? 写真立て?この間ノート買いに行った時、見つけたの。」
「あぁ あの海の?」
「そうそう!」

覚えててくれたんだと にこにこ笑う。

「その時は 佐伯くんと結び付け過ぎだなって思って買わなかったんだけどね?」

なんか変でしょ?なんて話しを振られるけど、どう返事していいかわからずに 曖昧に笑う。

「でも 結果的には見つけてよかったんだよね。」
「そっか。」
「うん!」

いつもの曲がり角まで来て、外灯の明かりで大崎の顔をはっきりと見る。

「送ってくれて、ありがとう。今日は ゆっくり休んでね?」
「あぁ そうする。」
「それから。」
「ん?」
「16歳の誕生日おめでとう!じゃあ またね?」

ふわりと笑って 走り出す。
バイバイと振る手に 思わずつられて振り返し、さっき握られた感触を思い出して自分の手を見つめた。
さっき 初めて握ったわけじゃないのに……。

(小学生のガキか、俺は。)

少し熱くなる顔に自嘲気味に思う。

あの写真立てを何処に飾ろうか。
帰りをのんびり歩きながら考える。

(店に飾ってもいいんだけど……)

ちょうどカウンターの脇に似合いそうなディスプレイをしてあったなと思い出す。
でも……

(やっぱ 自分の部屋だな)

殺風景な机を思い浮かべた。
中に入れる写真は、お気に入りの海の写真でも入れようか。
別れ際の 笑顔を思い出し、折角だからいつか一緒に写った写真でも入れてみようと思った。

毎年 最悪な誕生日だけど……

今年は 最後の最後でいい誕生日だったなと軽くなった胃を摩りながら来た道を戻った。

瑛Side continue..
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