君の色 瑛Side

店の入口を見つめている大崎。

「じいちゃんは?」
「今 帰ったよ?」

何も言わないで帰るなんて、珍しいな。

(やっぱ 疲れたかな?悪い事したな……じいちゃんにもこいつにも)

素直に謝ると、まったく気にしていない大崎は、何か思い出したように鞄を漁っていた。

「改めまして。お誕生日おめでとう!はい どうぞ 」

えっ?用意してくれて……たんだよな?
今日は、真っ直ぐここに来たんだから。

「うん。学校だと気になるかと思って。すごい数だったから、持ってかなくて 正解だったね。」

あの光景を思い出したようで、苦笑いしている。

「……開けていい?」
「うん。どうぞ?あ!佐伯くんっぽいなって選んじゃったけど 気に入らなかったら ごめんね〜?」

白い包装紙と青いリボンの包みは、涼しげで夏を連想させて。
何となく勿体なくて、そっと開ける。出てきたのは――

――貝細工の写真立て――

なんか……

「最初に見た時もぽいなぁって思ったんだけどね。」

最初? 最初って事は以前見てるって事か。……いつだろ?

「……いいな。これ。」
「そう?よかった! 気に入ってもらえて。」
「……やっぱ お前……」

( 俺と好みが似てる )

そう思った言葉は飲み込んだ。

「写真は好きなの飾ってね?じゃあ 私帰るね!」

言いたい事を言って、さっさと帰ろうとする大崎をチョップする。
なんのために着替えたと思ってるんだ。

「さっきも言っただろ。動かないと消費しない。ほら 行くぞ!」

止められないよう 先に店を出る。
諦めた大崎が後ろから着いてきた気配を感じで 笑みがでる。
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