君の色 瑛Side

授業中も、なんだか考え込んだり首を振ったりせわしない大崎を横目で見る。
たぶん どうやって俺の状況を回避させるか、考えているんだろう。

(……なんか 面白い生き物みたいだ……)

暢気にそんな事を考える。
しかし そんな気晴らしも段々効かなくなってくる。

(マジで勘弁してくれ……)

放課後も囲まれて動けない俺を見ると、大崎は鞄を掴んで飛び出して行った。

(なんなんだ? いったい)

まぁ この状況で話し掛けられないのは判るけど。

(こうなったら 諦めよう)

全神経を顔に集中させて周りの女子に向き直った。

(つ…疲れた……)

やっと開放され、帰り道を力無く歩く。
今日はまだまだ長いのに、俺の体力と精神力は持つのだろうか。
重く嵩張った荷物を持ちながら、珊瑚礁の裏口のドアノブに手をかける。一度 深く深呼吸して扉を開けた。

「ただいま……。じいちゃん遅くなってごめん。今から 開店準備手伝うから――」

店から香るコーヒーになんだろうと思いながら 覗き込む。
すると カウンターに座る店の制服姿の大崎が見えた。

「お前なにやって――」

回らない頭で考えようとすると、強張った顔の大崎が近づいて来て、ガシッと両腕を掴み後ろを向けさせられる。

「準備は終わったから、開店まで仮眠してきて。」
「は?何言って――」

意味わかんねーと、文句を言おうとしたらじいちゃんに止められた。

――疲れた顔では、お客様が不快な思いをする――

そう言われたら何も言い返せない。
部屋入って鏡を見てみる。

(そんな疲れた顔なんて――)

自分の目に飛び込んだ自分は、じいちゃんの言うとおりで。大崎の表情にも納得した。

(これくらいで 情けない)

そう苛立つ気持ちもあったけど、せっかくあいつがくれた時間だから……。
何も考えず ベットに横になった。
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