君の色

結局 放課後まで女の子に囲まれていて、プレゼントはもの凄い数になっていた。

(あれ 全部持って帰るんだ……。)

紙袋 いくつあるんだろう?

それにしても みんな気付いてないのかな?
佐伯くん あんなに疲れた顔してるのに……。
私に何か出来る事ないかな?

(そうだ! 少し早く行って、開店準備終わらせちゃおう )

とりあえず 一旦帰るために走り出した。
家に帰って手早く着替える。

(プレゼントも、ちゃんと持ってっと。
今からやれば 1時間以上は休めるよね?)

珊瑚礁に駆け込んだ私に、マスターは驚いていたけど、理由を話すと一緒に手伝ってくれた。

「すみませんね。天音さんに、そこまで気を使って頂いて。」
「たいした事じゃないですよ?学校でも 逃れる方法考えたんですけど、結局捕まっちゃうなら 後でゆっくりした方がいいと思って。」

テーブルを拭き終わって振り返ると、ひどく優しい笑顔のマスターがいた。

「ありがとうございます。さて、僕の方も終わりましたし 天音さん コーヒー淹れますから座って下さい。」
「はい!ありがとうございます。」

マスターの珊瑚礁ブレンドを飲みながら たわいもない話をしていると、疲れ切った佐伯くんが帰って来た。

「ただいま……、じいちゃん 遅くなってごめん。今から準備手伝うから――」

裏から入って来た佐伯くんと目が合う。

「お前なにやって―――」

私は立ち上がり 佐伯くんの体を有無を言わさず回れ右をさせる。

「準備は終わったから 開店まで仮眠してきて。」
「は? 何言って――」

文句を言い出しそうな佐伯くんに、マスターが援護してくれた。

「瑛。人の好意は黙って受けるものだよ。それに そんな疲れた顔で店に出れば お客様に不快な思いをさせるからね。お嬢さんの言うとおり、ちょっと休んできなさい。」

もう準備は終わってるからと笑うマスターに、渋々自分の部屋へと上がっていった。
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