君の色

19日は快晴。

(まるで……、この女の子達の笑顔のようだなぁ。)

佐伯くんにとっては、大変な一日だろうけど……。

私は 目の前の初めて見る驚きの光景を唖然と、でも他人事のように見ていた。

……実際 他人事なんだけど。

私より、少しだけ遅く登校した佐伯くんは、すでに女の子達に囲まれて教室に入ってきた。

どの女の子も、とても嬉しそうな笑顔でプレゼントを渡している。
それを相変わらずの王子笑顔で受け取る佐伯くん。

予鈴が鳴り 群がっていた女の子達が居なくなってから、ボソッと漏らした。

「あー 疲れた。」
「おはよう 佐伯くん。」
「あぁ。おはよう。」

小声で 「戻ってるよ?」と言うと、慌てて顔を学校モードに戻す。

「凄いね? びっくりしちゃったよ。もしかして、一日この調子?」
「あぁ。」

朝一から、疲れ切った顔の佐伯くんに 「頑張ってね」と声をかける。
もの凄く嫌そうな顔をして、私の方を向いた。

(……だから 顔戻ってるし)


きっと誰も居なかったら、チョップされるに違いない。そう予感がして 慌てて話しかけた。

「お誕生日おめでとう。」
「……知ってたのか?」
「うん。最近の女の子達はなんか凄かったから、はるひちゃんに聞いてみたらね?佐伯くんの誕生日だからって。」
「……ふーん。」

じっと見つめられ、なんだろう?と思う。

「 どうかした? 」
「……いや。別に。」

そのまま前を向いたので 私も授業の用意をする。

(なんだったんだろう……?変な佐伯くん)

その後、休み時間の度に女の子に囲まれていて、最初はのんびり見ていた私もさすがに青くなった。

( ど……どうしよう? )

なんとか助ける理由を探したけど どんな理由も先延ばしになるだけで、結局は捕まるんだろうと思うと、これと言って秘策は見つからない。

(ごめんね! 佐伯くん!)

心の中で謝る。
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