天使の梯子

登校中、そういえば……と思う。

(いつノート渡そうかな?)

あんまり人目に付かない方がいいよね?
目立って、佐伯くんが女の子達にいろいろ追及されるのは気の毒だし。

つらつらと考えていたせいか、あっという間に教室の前まで来ていた。
扉を開けると、思ったより生徒が少なくて。
佐伯くんは、もう席に着いていた。

「おはよう。佐伯くん早いね?」
「あぁ。おはよう。ちょっと早く目が覚めたから。」

そうなんだ。と言いながら鞄からノートをだす。

「これどうぞ。佐伯くんにあげる。」
「……なに? これ。」
「ノート。昨日買いに行ったら、佐伯くんっぽいの見つけたから買っちゃったの。だから、あげる。」
「……サンキュ。」

いえいえ、どういたしまして。と言いながら 私もノートを出す。

「こっちと違うのか?」
「うん。それは海だから佐伯くん。私のは空。同じ青でも全然違うよね〜。」

私は 鞄の中身を机にしまいながら話した。
佐伯くんは黙っている。

「同じのだと見つかった時、佐伯くんが困るでしょ?それに 空だったら私らしいかなぁって思ったし。」
「……なんで?」
「名前の由来。よくあるでしょ? ちょっと空に関係あったの。だからね?」
「どんな?」

そこで私は佐伯くんを見た。
珍しく 私の話に乗ってくるなと思ったから。

「どうした?」
「ううん。佐伯くんがそこまで食いつくのが珍しいなぁって。」
「いいだろ 別に。で?続きは?」

そんなに面白い話じゃないよ?と続けた。

「私が生まれた時 雲間から光が差し込んでてね?空から何かが聞こえた気がしたんだって。あれって、天使の梯子っていうんだよね?」

つまんなかったでしょ?と聞くと

「いや。そんな事ない。ノートサンキュな。大事にする。」
「大事にしたらダメだよ!使わなきゃ意味ないんだから!ノートだよ?」
「そっ……か、……そうだな。じゃあ 大事に使う」

それもなんだか違うよ?
笑いながら 予鈴の音に顔を前に向けたのだった。
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