天使の梯子

クリスくん以外は 中等部から一緒なんだし、ハリーって呼んでもおかしくないのに……。

「ねぇ。みんなはどうしてハリーの事、苗字で呼ぶの?」

みんな黙り込むなか、千代美ちゃんが口を開いた。

「大崎さん 突然どうしたんですか?」
「なんとなくだけど。みんながハリーって呼ばないのには、理由があるのかなぁ?って。」
「そうねぇ……、どう言えばいいのかしら?」
「そうだな。まぁ、単純な理由からだ。」
「そうですね。いたって簡単で明確な答えです。」
「まぁ アタシもそう思うからなんだけど……。」

普段ハッキリ話す竜子さんまで、言葉を濁している。
はるひちゃんがニヤニヤしながら、みんなに話しかけた。

「ええやん。ハッキリ言うたら。天音もハリーもすっきりするやん。」

私は いけない質問をしたのかと、生唾を呑む。
見れば、ハリーと何故かクリスくんまで真剣な顔で。
佐伯くんだけは、涼しい顔して私が作ったパウンドケーキを食べていた。

「本当に単純だ。似合わないからだ。」

本当に単純な理由に、ハリーが怒り出す。

「どこが 似合わねーんだよ!」
「どこって 判らないのか?」
「判らないから 強要するんじゃないですか?」
「さすが チョビちゃん。鋭い分析ね?」
「チョビじゃなくて 千代美です。」
「だからっ!!なんなんだよ!」

それまで黙ってた竜子さんが、驚いた顔でハリーに尋ねた。

「針谷、アンタって鏡見た事ないのかい?」
「あるけど……、なんで??」
「純和風な顔立ちに似合わない。」
「いっ!?」

志波くんの一言に、はるひちゃんが我慢出来なくなったようで噴き出した。

「ぷっ あははは!よかったなぁ 理由が判って!」
「ウルセエ!!」
「そういえば 天音も最初は、外人かと思ったって……。」
「あれは! 名前だけ聞いたから! 他にもクリスくんみたいな人がいるかと思ったんだもん。」

そう思うでしょ?と同意を求めた。
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