デート再び

扉を開けると これはまた……。
マスコットやらヌイグルミやら、たくさんの動物が陳列されていた。

「もうすぐ千代美ちゃんの誕生日だから、何かプレゼント渡そうと思って。」

物凄く真剣な目で 商品を眺めている。
邪魔するのも悪いかと思い 何気なく店を見渡すと、ある物が目にとまった。
さすがに 手には取れないので 少し離れたところから見てみる。

似てる……。なんかそっくりだ。
あの カピバラのヌイグルミ。
雰囲気と言うか 表情と言うか。
ヌイグルミに表情なんてないけど……。
笑えるくらい そっくりだ。

ある事が頭をよぎり、今すぐ持って行ってからかいたい気分を押さえ付ける。
その時 どんな表情するんだろ?
なんとなく想像できて 思わず笑ってしまう。

その時、タイミングよくと言うか 運悪く大崎がこっちを向いていて。

「佐伯くん……、気味悪い。」

問答無用で全力チョップした。

「で? 決まったのか?」
「うん。これにするよ。」

と見せたのは タヌキのマスコット。

「これでいいのか? ホントに?」
「うん。千代美ちゃんって こういうの好きだから。」

小野田って………変。

綺麗にラッピングしてもらった袋を大事そうに抱えた大崎と 海岸線を歩く。

「今日は 本当にありがとう。すっごく 楽しかった。」
「あぁ 俺も楽しかった。いいもん教えて貰ったし。」

喫茶店で貰った レシピをひらひらと見せる。

「それ。ちゃんと出来たら飲ませてね?私のお気に入りなんだから。」

また 意地悪く笑った大崎にチョップを入れながら答える。

「任せとけ。これくらいすぐ作れるようになる。なんたって俺だからな。」
「あはは。楽しみにしてる。じゃ 私ここ曲がるから また明日ね?」
「あぁ。」
「今日は付き合ってくれて、本当にありがと。おやすみなさい。」

笑顔で手を振りながら 走り出す大崎につられて 手を振り返した。

……なんか デートみたいだ。
今日のは本当に。

不意によぎった事を頭を振って追い払う。
気のせいだ。……きっと。

とりあえず 帰ってもう一度あのレシピにチャレンジしよう。

夕日でオレンジに染まった海を見ながら走り出した。
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