デート再び

何がなんだか判らない展開に、コーヒーを飲んで気を落ち着かせる。
うわ、……このコーヒーも旨い。

「どう?」
「ん 旨い。悔しいけど。」

思わず素直に答える。
ふふっと柔らかく笑った大崎が続けて言う。

「佐伯くん。これ飲んでいい?」

指差したのは さっきのアレンジコーヒー。
たしか こいつ専用って言ってたか。

「あぁ、いいよ。」

やった!と言ってスプーンに手を延ばす。
……それ、俺が使ったやつなんだけど。
しかし 美味しそうに飲んでる姿を見て、まぁいいか。と諦めた。

大崎が、幸せそうにコーヒーを堪能してる間にレクチャーを受ける。
そんなに難しいわけじゃないけど 慎重にしないと層が混ざってしまう。これは帰って特訓しないと。

佐伯くん下手だよ…と文句を言いながら、失敗作を飲む大崎を見て 必ず成功したのを飲ませてやると誓う。

なんか悔しいじゃん。

「大丈夫。佐伯くん器用だし 飲み込み早いから、すぐ出来るよ。」
「はい。ありがとうございました」
「また、来てね?」

お礼を言って店を出る。
やっぱ すげー店だった。
大崎に連れて来てもらってよかったよな。

「大崎。サンキュな。」
「ん?」
「あの店。凄かった!また行ってもいいか?」
「ん〜 いいけど。火曜と木曜は止めてね?」
「なんで?」
「いとこのバイトの日なの。大騒ぎするからね、絶対。」

もうね?親バカなのと苦笑いしている。
本当に仲いいんだ。どんな人なんだろう。
こいつをコーヒー好きにした人。

商店街まで出てくると、ある店で大崎が止まった。

「ちょっと見て来ていいかな?」
「いいけど。何の店?」
「動物のフィギュアとか売ってるお店。千代美ちゃんが好きなの。」
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