動き出した運命

店の準備を始める前、いつものように窓辺に座ってコーヒーを飲んでいた。
仕事の前に、気持ちの切り替えの意味もある。
本格的に店に出してもらえるようになったんだから、頑張らないと。

「やっぱ 海はいいな。」

思わず独り言を言いながら、海を見つめる。
ふと、見慣れない光景が目についた。

―――ん?灯台に誰か…いる?

珍しかったから目に付いたんだ。
あの場所に、人がいる事じたいない事だったから。
その人は長い髪を靡かせて、海を眺めている。

なんか 『絵になる』って感じ。
ここからじゃ顔まではわからないけど。
コーヒーを取るため、ちょっと目を離したら その人の姿はなくて。

―――なんか…残念…かな?

残念ってなんだよ!なんて思いながら目線を下ろすと、さっきの人が店の前にいた。
結構 若いか? 俺と変わらないくらいかも。
ゆっくり顔を上げだしたから、思わず身を隠す。

なんで、俺が隠れなきゃいけないんだ!

そう思いながらもそっと覗き込むと、その女はいなかった。

なんなんだ いったい。
訳わかんねー
だいたい女ってウルサイんだよ。
少なくとも 俺の周りにいる女どもは!

なんか 気分悪い。
不機嫌なまま部屋を出て階段を下りる。
そんな俺の様子にじいちゃんが目を丸くする。

「瑛。どうかしたのか?」
「なんでもない! 店開ける準備するよ」

他に答えようもなかったから、笑ってごまかした。
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