初めての体育祭.瑛Side

結局 総合優勝はE組。

対抗リレーが響いたな。
まぁ そんなのどうでもいいけど。
いや よくないか。

最後はフォークダンス。
1番辛い時間。ずっと表の顔でいるのは ある意味拷問だ。

「よろしくね?」

次々かわる女子に愛想を振り撒く。
いい加減 顔の筋肉がつってきた。

ふと何人か前を見ると 大崎が誰かと親しそうに話している。
あれは……志波?
つーか いつの間に知り合うんだよ。
クリスといい 針谷といい この学校では ある意味有名人だぞ。
それも やけに親しそうだし。
志波だって 普段あんなに笑わないだろ。
大崎も なにへらへら笑ってるんだ。

……まぁ、俺には関係ないけどな。

俺の番になっても気付く気配がないのに ちょっとムッとして 掴んだ手を引っ張る。
びっくりした顔で見上げた大崎が、よろしくと言ったが思わず素っ気なく一言。

「あぁ」

俺なに不機嫌になってるんだ?

「疲れたでしょ? 今日は急いで帰った方がいいよ? もし捕まっちゃったら、私の名前出していいからね?」

あ!でも私じゃ説得力ないよね?
どうしよう?

勘違いした大崎がとんちんかんな事を話し出すので不機嫌になった自分が馬鹿馬鹿しくなった。

そういえば………。

さっき気付いた事を思い出し 小声で確かめる。

「お前さ。スターターの音嫌いだろ」

案の定 真っ赤になった大崎がしどろもどろになった。

「なんで? あの音がどうにもね?って言うか 今まで誰にも気付かれた事ないのに?あぁっ あれだね?二人三脚だね?」

あまりの慌てぶりに笑いが込み上げる。
二人三脚で確信したけど 気付いたのはもっと前なんだぞ?
そんな事は言わないけどな。

「内緒だよ? 絶対内緒だからね!」
「わかってるよ。」

小声でヒソヒソかわし 手を離す。
すれ違いざま 少し照れ臭そうに俺を見上げた。

「佐伯くんしか知らないんだからね? ホントに内緒だよ?」

本当に誰も知らないんだ。
考えたら たいしたことない秘密なんだけど、必死に隠す姿に笑いが込み上げる。
まぁ そこまで言われちゃ仕方ないよな?
黙っててやるか!
俺だけしか知らないんだったら、誰も知る必要はないけど。

疲れてたはずなのに 帰りの足どりは軽かった。
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