ギターの音色

「ごめんなさい。びっくりさせるつもりじゃなかったんだけど……。本当に素敵な曲だったから……。」
「…………………。」

やっぱり怒ってるよね、と頭を下げる。

「本当にごめんなさい。」
「……よかった?」
「えっ?」
「今の曲。」
「うん。優しくて、包んでもらってるような……感じだった」
「そっか………。」

そう言って 柔らかい顔で笑った……と思ったら 彼が突然立ち上がった。

「じゃなくて!オレ様が作ったんだから当たり前!!」
「あははは! ハリー面白っ!」
「うるせぇ!! いちいち笑うな!西本!」

はるひちゃんは、何かスイッチが入ったらしく笑い転げている。
ハリーと呼ばれている人は、ふと私の顔を見て口を開いた。

「そういや オマエ誰?」
「あ!ごめんなさい。B組の大崎 天音です。えっと………?」
「……オレか?」
「はい。」
「オレは 針谷……のしん。」
「のしんさん?」
「チガウ! 針谷幸之進!通称 ハリーだ!」

まだ クスクス笑っていたはるひちゃんのスイッチがまた入った。

「ぶっ………あははは!!」
「ど どうしたの?」
「うるせぇ 西本! いいな!ハリーだからな!!」

ギターを掴むと 物凄い勢いで音楽室を出ていった。
ハリーだからな〜〜!!と言う叫びが遠くから聞こえてくる。
その叫びに はるひちゃんはまた笑い転げていた。
ようやく笑いがおさまった はるひちゃんと駅前の喫茶店に。
限定パフェを食べながら、ハリーの事を聞いてみる。

「どうしてハリーなの?」
「あぁ ハリーなバンドしとるんやけど 名前が純和風で気にいらんからハリーなんやて。ちなみに 苗字からな」
「苗字? たしか針谷……。あぁ!針谷の針でハリーね?」
「そうそう! んでクラスはE組。ヒソカッチと一緒」
「そうなんだ〜。私 最初は外国人かと思ったよ。」
「ぷっ あはは! 天音!あんた面白すぎっ」

あれはどう見ても 純日本人やで? と笑っている。今日の はるひちゃんは、スイッチがずっと入ったままらしく……。

「もう あかん。絶対 明日は筋肉痛やわ」

と帰って行った……。

とにかく また一人友達が増えたんだよね?

きっと…………。
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