動き出した運命

結構あちこち曲がった気がするけど、灯台に続く道を見つけて駆け出した。

「こんな所にあるんだ〜」

すぐ傍には可愛い建物が建ってる。
こっちも気になるけど、やっぱり灯台だよね?
そう思いながら近づいてみる。
なんだか見た事あるような、ないような……。
―――そんな訳ないけど。

灯台なんて、どこも似たようなものだろうしね。

入口を見つけて 扉を開けてみたけど………。

「やっぱり 開くはずないよね……。」

なんとなく立ち去るのが惜しくて、灯台の傍でしばらく海を眺めていた。

そういえば、今何時なんだろう?

何気なく腕時計を見てみる。
そんなに時間がたったとは思えないのに、時計の針は思いがけない位置にあった。

「えっ? もうこんな時間? そろそろ帰らないと」

素敵な場所なのに 残念。なんて思いながら振り返ると、さっきの建物が目に入る。
何かのお店なんだろうか?
その場所を通り過ぎる時に目についたのは……。

『喫茶 珊瑚礁』

そう書かれた木製の看板。

建物もだけど、看板も可愛いなぁ……。
お店は閉まってるけど お休みなのかな?
少し覗き込むように見ていたら、2階の窓辺に人がいるのに気がついた。

「カッコイイ人だなぁ…っと いけない! 早く帰らなきゃ!!」

早く帰らないと心配するんじゃないか、と慌てて駆け出した。それなのに なぜか………。

「あれっ? ここって さっきのお店だよね??もしかしなくても……迷ってる?」

出かける時に迷子にならないって言ってたのに………。

―――どうしよう………。

困り果て悩んでたら扉が開いて、お店の制服を着た人が出て来た。

……さっきの男の子だよね?ずいぶん雰囲気が違うけど。
別人ではないとしたら、かなり童顔なんだろうか。
今、目の前にいる男性はいくつか年上に見える。
店の中に声をかけていた男性が、こちらを向くなり口を開いた。

「……げ………。」

……げ? ってなに? なんで?
人の顔を見ての第一声に、訳がわからず固まる。

「ウチの店に何かご用ですか?」
「あ いえ……、道に迷ってしまって……。」
「この辺の子じゃないの?」
「以前は住んでた事はあったんですけど……。」
「そうか なんだ……。……朝から 笑うと疲れるんだよ。ただでさえ寝不足なのに。」

なに?この人。なんか 感じ悪い……

「……で、なに?」
「あ! あの… 道に迷ってしまって…」
「あぁ そっか。ゴミ捨てが終わったら駅までの地図書いてやるから それで帰れよ。」
「ありがとう」
「……そこ どいて。ゴミ捨てにいけない。」
「ごめんなさい……。」

そのあと 地図を書いてもらって 駅まで戻る。
ものすご〜く感じ悪い人だったけど 地図は丁寧で分かりやすいものだった。
帰ってから、美奈ちゃんと珪くんに話したら 笑っていた。

「やっぱり迷子になったのね?」

美奈ちゃん そこじゃなくて 感じ悪い人の感想を聞かせてよ……。
まぁ もう会う事もないからいいんだけどね

天音Side continue..
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