なんとなく気になって

両腕でバランスをとりながら歩く大崎の横顔を見つめる。

「初めてちゃんとしたコーヒー飲んだのは6年生の時かな?よく飲むようになったのが 中一になってから」
「この前の店?」
「アルカード?あそこは中ニから行ってる。……かな?」

なんか妙に歯切れが悪い。
そんなに悪い事聞いてるわけでもないのに。

「って事は、こっちへはよく来てたのか?」
「そうだねぇ……。月一?」
「そんなに!?」

そんな前からこっちに来ていて、すぐ近くにいたって事か?

でもなんで疑問系なんだ?

「あ! こっちの方へは来た事なかったんだよ?こんなに海が綺麗なら来たらよかった……。」

そう言って海を見つめる大崎。
俺からは顔が見えなくて。
今 どんな顔して見つめてる?

もうちょっとで店に着くけど、まだ話したくて 俺は堤防に座った。

少し不思議そうな顔をして 大崎が見下ろす。

座れば?と指差すと ちらっと店を見て隣に腰を下ろした。

「いいの? お店。」
「今日は まだ早いから。」

そっかと言いながら 目を細めて海を見つめる。

さっきまでの表情じゃない 大人びた横顔にどきっとしたけど、大崎の顔にも 今の自分の気持ちにも目を背け海を見た。

「海 好きなんだな……。」
「うん 好き。佐伯くんもでしょ?」
「まぁ……な。」
「なんでかなぁ……。懐かしい気がするんだよね……。」

それってさ。記憶の何処かにあるってことか?俺との想い出も……。あの 約束も。

「…………くん……… 佐伯くん!」
「えっ?」
「そろそろ行こう? もうすぐ開店の時間だよ?」
「あ あぁ……、そうだな……。」

立ち上がりながらも海を見る。

いつかこいつが思い出したら……。
どうなるんだろう……?
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