デートみたいな?

おいおい。客にさせるのか?
そう心の中でつっこんでると、大崎は配達相手が誰かわかってるらしくあっさり了承する。

「佐伯くん ちょっとごめんね?すぐ戻るから 待ってて!」

トレイに乗ったカップとポットを手慣れた様子で抱えると、出ていった。
二人残されて、どうしたものかと考える。
これと言って会話が見つからない。

「ごめんね。今日は配達って予定になかったもんだから バイトの子いれてなくて。」
「あ いえ、かまいませんよ?」
「……君も、コーヒー好きなんだね?」
「どうしてそう思うんですか?」
「天音ちゃんが連れてくる初めての相手だから。」

目を細めてマスターが話す。
どうも この店は大崎にとって特別らしい。

そんな場所に俺を連れてくるなんて……。

どうリアクションしていいものか わからず困る。

「いろんな意味で特別なんだ。その中には……、君も入ってるみたいだね。」
「あの……、それはどういう――」
「ただいま戻りました〜!ごめんね!佐伯くん!」

……おまえ タイミング悪すぎ。
隣に座り直した大崎がなにやらブツブツ言っている。
配達先の人にもからかわれたらしく 彼氏じゃないを連発して不満そうだ。

そこまで否定するか?

なんとなく面白くない。

………? ……なんで?

マスターの言葉の意味や 自分の気持ちがぐるぐる頭を駆け巡る。
そんな俺に大崎が不思議そうな顔をしてたけど タイミングよくコーヒーが出てきたのがラッキーだった。――――が。

………マジか?
こんなん出すか? 普通。

目の前に出されたものに ア然とした。

「あの……、これって……。」
「へー、これがわかるなんて たいしたものだねぇ。」

ローストしてる時から かなりいい豆だとは思ってたけど……。高校生に普通に出すか?
俺は内心かなり焦っているというのに、大崎を見れば マスターと笑いながら飲んでいる。

なるほどな。こいつがやたらと鼻がいいのは このせいか。

たぶん このマスターは普段から こうやって飲ませてるんだ。
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